ジンズと言えば、リーズナブルでおしゃれなメガネというイメージが定着している。しかも、そこに留まることなく、パソコン用メガネ「JINS PC(現在はJINS SCREEN)」を大ヒットさせたり、乾燥対策の「JINS MOISTURE」や花粉対策の「JINS 花粉CUT」を開発したり、時代にフィットしたものを打ちだし、企業としての勢いに強いものがある。

代表取締役社長を務める田中仁さんは、ユニークなキャラクターの持ち主と聞いていた。高校卒業後に信用金庫で働き、起業して今にいたる。途中で慶應義塾大学の大学院に通った経緯もユニーク。是非一度、話を聞きたいと思い、この連載に登場していただいたのだ。

ジンズ本社は、東京・飯田橋駅に近い、大きなビルの30階全部を占めている。そして一層下の29階に、 “世界一集中できるワークスペース”である 「Think Lab」という場を設えたばかりという。

次々と新しいモノやコトを仕掛けてきた田中さん、その発想の源はどこにあるのか、これからどこに向かおうとしているのか、あれこれ聞いてみた。

田中 仁(たなか・ひとし)氏 <br />1963年、群馬県生まれ。1988年ジェイアイエヌを設立、代表取締役社長に就任。2001年アイウエア事業「JINS」(ジンズ)を開始し、2006年大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場。2011年『Ernst&Youngワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011』モナコ世界大会に日本代表として出場。2013年東京証券取引所第一部に上場した。
田中 仁(たなか・ひとし)氏
1963年、群馬県生まれ。1988年ジェイアイエヌを設立、代表取締役社長に就任。2001年アイウエア事業「JINS」(ジンズ)を開始し、2006年大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場。2011年『Ernst&Youngワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011』モナコ世界大会に日本代表として出場。2013年東京証券取引所第一部に上場した。

仮説をかたちにした「世界一集中できるオフィス」

川島:このオフィス、30階にあって抜群に眺めがいいし、解放感でいっぱいです。変に凝ったデザインじゃないところもかっこいいと感じました。

田中:ありがとうございます。このビル、ワンフロアで820坪あるのです。うちはその30階全部と29階の半分を借りていて、下のフロアは大人数でミーティングできる会議室や、子会社のオフィスとして使っていました。ところが、29階の残り半分も借りないかというオファーをいただき、最初、そんな気はまったくなかったのですが、「隣の土地は借金してでも買え」という言い伝え、あるじゃないですか。それで思い切って、借りることにしたのです。

川島:何に使うか決めないうちに借りちゃったんですか。

田中:借りてから、何をしようかと考えたのです。最初は卓球台を並べてみようとか、勝手なことを言っていたのですが、なかなか具体的に進まなかった。ある時、「世の中のオフィスは、集中できる場所がなくて困っている」という話を耳にして、ピンと来たのです。当社には「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」という商品があり、これは、姿勢や眠気をはじめ、「内なる自分」を知ることができるセンシングアイウエア。その機能のひとつとして集中度の測定も入っていて、知見を持っていたのです。そこで、それを土台に、世界で一番集中して働ける空間として「Think Lab」を作ることにしました。まずは実際に見てください。