自分のリーダーは自分です

川島:糸井さんが自信を持って、そう言われるのは、糸井重里事務所の仕事を通して、たくさんのオフェンスを重ねてきたからだと思います。だけど、企業に余裕がないから、新しい実験=オフェンスができないっていう話も聞きます。

糸井:ディフェンスがきっちりできているから、今までの商売が築いてこられたし、そこのところで原資を確保していることも分かっている。その財産を食いつぶしちゃう前に、次の何か、つまりオフェンスを考えておこうというのは当たり前のことです。でも、それがすべてだということでもなく、「重なっている」のが大事なわけで。

川島:「重なっている」とは、どういうことですか?

糸井:たとえばフローとストックといった言い方をよくしますが、フローでもストックでもない状態ってあるじゃないですか。宙に漂っているみたいな。そのあたりを勘定に入れておけばいいんじゃないかと思うわけです。フローとストックが対決しているわけじゃないし。そこは、だいぶ大人な気分で「重ねて」やっていかないと。

川島:そういったことを理解した上で、実行できる企業とできない企業、ますます差がついていきそうです。

糸井:誰のせいにするのでもなく、覚悟し、選択する。「自分のリーダーは自分です」って僕は思っています。自分のリーダーとして自分で判断するわけです。しかも、そう思うのは社長の僕だけじゃなくて、社員一人ひとりがそう思わなくっちゃ。「あんたらがいて、良かったわ」と言われるチームに、ますますなっていきたいと考えています。

デザインとは「生きる舞台を作ること」

川島:糸井さんにとって、デザインとは何でしょうか?

糸井:デザインの意味するエリアが物凄く広がっていると思います。昔は「プラン」と呼ばれていたこととか、「設計」と言われていたことまで、今はもう、デザインの中に組み込まれていますよね。

川島:「企画」もそうですね。

糸井:だから、そっちまで含めて、つい考えちゃうんですけれど。僕は、デザインとは究極的には「都市計画」だと思っているんです。人の住む街とか都市を「どういう都市がいいんだろうな」と考えることが、デザインの行き着く先だと思うんです。

川島:デザインの行き着く先は「都市計画」!

糸井:川島さんの質問から、デザインの行く先は「都市計画」になっちゃうんですね。でもそうだなぁ、デザインそのものっていうのは何だろうなぁ。……。うん、できた!「生きる舞台を作ること」です。こうやって苦し紛れに考えると、出てくるものだね(笑)。

川島:それも大きな定義ですが。舞台って何なんでしょうか?

糸井:舞台は舞台。人とかかわる場所だし。もちろん、舞台じゃない場所というのもあると思います。でも、現代社会の中で、舞台はどんどん増えていますよね。お店を開いている人は、もうそこにいる間は、全部舞台だしさ。

川島:人と人のかかわりがあって、いろんな会話があり営みが生まれている。

糸井:自宅も舞台ですよね。お父さんをやっている人は、子どもが「どこかに連れていって」という話をしている時、何と答えようかというセリフがあって、自由にしゃべっているわけじゃない。だから舞台とは基盤になるほどデカいもの。そう考えていくと、デザインは「ライフを乗っける器」かもしれない。

川島:「ライフを乗っける器」。