社員を増やして、株式上場も視野に入れています

川島:叱るのはどうですか?

糸井:チャンスが欲しくてうちに入ったのだとしたら、他にもチャンスが欲しい人はいっぱいいるわけだから、チャンスに向かう気持ちがなくなっている場合、「どうなっているんだよ」とは言います。

川島:それは愛情からくる苦言みたいなものなのかなぁ。社員に対して、愛情って感じていますか?

糸井:愛情は、あります。今や会社は自分の身体みたいなものだから。正確にいうと、愛というより一体感ですよね。私であるかあなたであるかということの境目があまりない時間と空間は、組織がうまく動いていると、どんどんできてくるんです。そうなってくると、会社って面白くなっていきます。

川島:オフィスにうかがって、「面白そう」っていう気配が漂っているって感じました。今年初めに引っ越されたのですが、空間の構成やデザインは変わっても、漂っている空気の密度が、前とまったく同じなんです。

糸井:わが社は何でできているかというと、酸素と窒素(笑)。そして伸びしろです。「俺はシロを作るんだ、伸びしろという」みたいな。

川島:ということは、これからどんどん会社を大きくしていこうと?

糸井:そうです。社員を増やして、株式上場も視野に入れています。

川島:えっ、そうなんですか。それはまたどうして?

糸井:企業としての足腰を鍛えることって大事かなと思って。それで、人を採ったりしようとがんばっているのだけど、なかなかいい人が来てくれない。だから、まだうちの会社の足腰は弱いのかなって。前に比べたら「そろそろ来始めたかな」っていう感じはあるんです。でも、技術職になるとまだまだですね。「どうやって人を採るのか」ってとても興味があることのひとつです。

「かっこいい」と「ダサい」の谷

川島:糸井さんは、どんな球を投げても、すごいところから打ち返してくる。実に「かっこいい」なあ、と思うんですけど、そもそも「かっこいい」と「ダサい」とは、何がどう違うんでしょうか?

糸井:実はかっこよくてもダサくても、どっちでもいいと思うんです。だって、ダサくても好きなものって山ほどあるじゃないですか。それは自分についても同じなわけで、「俺はここがダサい」と思うところ、あちこちにありますよね。そのダサさも含めて自分だし。

川島:そうですね。

糸井:一方で、さっき言われたように、「糸井さんのここがかっこいい」という他人の目線もありますよね。「かっこいい」というのは、ちょっと社会性があることなのかもしれません。

川島:「かっこいい」は他人の目線が決めている?

糸井:うん。キャッチボールでミットの音が鳴るみたいに。「かっこいい」は一人だけでは決められない。人から見てというところが、どこかあると思うんです。