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1948年群馬県生まれ。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。 1971年にコピーライターとしてデビュー。 「不思議、大好き。」「おいしい生活。」などの広告で一躍有名に。 また、作詞やエッセイ執筆、ゲーム制作など、幅広いジャンルでも活躍。 1998年6月に毎日更新のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を 立ち上げてからは、同サイトでの活動に全力を傾けている。

川島:創業社長って、ともするとワンマンになりがちだなぁって普段から思ってきたんです。「俺についてこい」みたいなマッチョな社長ってけっこう多いじゃないですか。社長としての糸井さんは、本当のところ、どうなんでしょうか?

糸井:マッチョな大将になると不自由になります。僕は、自分の自由を減らしてまで大将でありたいかと言ったら、そうはなりたくないですね。大将でいて何が面白いんだ、と思っちゃうので。

 ただ、「マッチョぶると面白いことがあるんだろうな」とは考えます。たとえば、今が戦後の混乱期だったとするじゃないですか。それで、昔ちょっとだけ関係のあった女の人に、闇米とかをどんと運んであげちゃう。「どやっ!」てね。そういうのは憧れます(笑)。

川島:そういうマッチョな施しだったら、私もされてみたいと思います。

糸井:でしょう? それに、たくさんの人が働くことで成立しているような会社の場合は、社長がマッチョに振る舞うことって、時に大事だとも思うんです。

川島:なぜですか?

時にはマッチョのように

糸井:たくさんの社員にとって「何か頼りになる」ところがあった方がいいからです。でも、うちのような会社のサイズでは要らないことです。

川島:糸井さんはマッチョではないけれど、世の中的には知名度が高いし、憧れの存在でもあって、ある意味、会社の顔ですよね。

糸井:「俺が受けてる」って社長が言っても、誰も喜ばない。だから「俺が受けているんじゃねえ、おめえらが受けているんだ」と、社員たちに言いたい。僕が受ける必要なんて、どこにもないんだもの。僕はどうするかっていうと、町人として近所で人気のある人になりたいんです。

川島:町人としてですか?

糸井:みんなに人気がなくてもいいから、近所で人気がある人になりたいんです。「おはようございます」って、ニコニコ言い合えるような町内を持っているかどうかは大事ですから。

川島:世間じゃなくて近所って言うのは、世の中あまねくというよりは、社員の人や取引先、そしてお客さんに人気っていうことですね。こういう話、普段から社員に伝えているんですか?

糸井:そんなこと、僕が口に出さなくても、オートマチックにそうなっていくんですよ。自然にそう動いていくということです。うちは、チームで動いているから。チームっていうのは、勝てば嬉しいじゃないですか。それで「お前、よく打ったな、かっこいいな、明日はダメでもいいよ」みたいな。

川島:そうやって糸井さん、社員を褒めることもあるんですね。

糸井:いや、褒めてあげない。僕が褒めるのは、社員の美貌だけです(笑)。おつりみたいな仕事で「よくなったな」くらいは言いますが。