「やる仕事」から「つくる仕事」にシフトするしかない

:近い将来、たいがいの仕事をAIとロボットがやるようになります。というと、前に説明した工場の無人化に代表されるようにブルーカラーの仕事がなくなるイメージが強いかと思われますが、実はホワイトカラーの、しかも今まではエリートとみなされた仕事もなくなる。

 たとえば、弁護士や会計士、税理士、いわば“士業”の仕事は9割以上、AIに置き換えられるようになるかもしれません。なぜかと言うと、既存の法律に基いて判例にあたり、弁護や調停をしていく仕事って、AIのほうがはるかに向いているんです。知識不足や偏見を排除できるので、法律や制度に基づいた仕事はAI向きなんですよね。また、医者の仕事も、人間ではできないような難易度の高い手術を全部ロボットがやるようになります。

川島:そうやって仕事がなくなっちゃった人たちは、どうしていけばいいのですか?

:「やる仕事」から「つくる仕事」にシフトするしかなくなりますね。たとえば、法律の仕事をしたかったら、弁護士や裁判官や検事じゃなくって、リーガルデザイナーとかリーガルアーキテクトと呼ばれる、法律や規制そのものをデザインする仕事が、人間の仕事になります。

 AIやロボットの台頭で、それまでにはなかった法整備が必要になりますが、これはまさに人間の仕事です。逆にいうと、法律によって裁く仕事から、法律そのものを創造する仕事にシフトしないと、人間の出る幕はなくなります。

川島:ふむふむ。「創造」そのものは、やはり人間の仕事である、と。逆にいうと、人間の仕事はクリエイティブに向かわざるを得ないということですか?

:人間の仕事は、ほとんどがクリエイティブワークになっていくということです。

川島:でも、それってものすごく難しくないですか? クリエイティブな仕事って、ごくごくわずかの人の才能によって支えられている気がするのですが。みんながクリエイティブになるって、できるんでしょうか?

※3月15日公開予定「社長は消える、スナックのママは生き残る」に続く

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