山井:あれは、ヒノキの集成材で作ったものです。だから、室内に入るとヒノキの香りに包まれて、それだけでも癒されます。

川島:ヒノキの集成材って、一体、どういうものなのですか。

山井:集成材とは、要はベニヤ板のこと。日本では無垢の木にこそ価値があるといった考えが強くて、ベニヤ板は安価な素材と受け取られがちですが、実はハイテクな建築素材で、軽さと強さという点で、優れた機能を持っているのです。
「住箱」の特徴のひとつは、高さを変えて開けた窓が、外の風景を額縁のように切り取っているところ。中で過ごしながら、外の自然と一体化し、それが場によって変化していく「旅する建築=住宅」でもあるのです。

川島:そう聞くと泊まってみたくなりますが、作るにあたって苦労されたところは?

山井:「住箱」のかたちは、とてもシンプルに見えるのですが、実はひとつひとつ、大工さんが手作りしているのです。釘ひとつ打つにも丁寧な職人仕事がなされていて、完成度の高い建築と言っていいと思います。

川島:発表してみて、反応はどうですか?

山井:思っていたより好反応です。「GINZA SIX」に、基本的には「住箱」だけを売る場を持っているのですが、予想以上に売れていっています。

川島:どういう方が買っていくのか、凄く興味があります。

山井:個人の方ももちろんいらっしゃいますが、意外と会社で買う方がいることに驚いています。たとえば、自社のショールームに使うとか、歯医者さんの待合室として使うとか。あと、これを丸ごと使ったバーを神楽坂でやっていた人もいました。店名も「TRAILER」そのままで。

川島:それは面白い! 「住箱」は、いろいろ使いみちが広がりそうですが、この先も考えていらっしゃるのですか。

山井:もちろん考えています。今は窓ガラスは1枚だけですが、寒冷地のことを考えると、ペアガラス=2枚貼りのものも必要とか、シャワーやトイレを付けるタイプとか、是非、進化形を作ってみたいと思います。

川島:ここでもまた、山井さんの「やってみたい」が出てきているのですね。

あわせてこちらもご覧ください
第1回 ラグジュアリーなキャンプギアの開発と経営危機
第2回 「グランピング」は地方創生とつながっている
第3回 キャンプは人間性の回復につながる
第4回 社内でデザインすると、お客さんの先が見える
第5回 人生の価値を上げるような体験を提供していく