川島:またちょっと、スケールが大きい次元の話です(笑)。でも確かに、ファッションブランドで「ターゲットは〇〇歳の女性。キャリアがあって自分を持っている人」みたいなくくり方に違和感があるし、コンセプトを読んでから実際の服を見て、全然一致していないと感じることも多いので、山井さんのおっしゃる意味も、よくわかります。

山井:スノーピークらしさということでは、当然、機能や品質も作り込んでいますし、美しさにもこだわっています。

川島:キャンパー向けのウエアというと、機能性は優れているけれど、デザインはちょっとダサいという先入観があったのですが、スノーピークのものは、街着としても着られるし、旬のトレンドがほどほどに入っていて、ファッションビルの中に店を構えても、遜色ない存在感があります。

山井:そう言ってもらえると、本来、僕がやりたかったことが、少しはカタチになって伝わっているのだと、自信がつきます。

川島:それでこのブランド。実は、山井さんのお嬢さんが、デザイナーを務めているのですよね。

山井:小さい時から、僕と一緒にさんざんキャンプをやってきているので、キャンパーとしての彼女が考える服には、自然とスノーピークの精神が反映されているのではと考え、思い切って任せています。アパレル主体で出した店もファンが付いていて、最近は、アパレルからスノーピークに入り、「そもそもアウトドアのブランドだった」と気づくお客さんもいるくらいです。

川島:ちょっとだけ親バカっぽい発言ですが(笑)、スノーピークの世界観がさらに広がることは間違いありません。

建築家の隈研吾さんと組んだ「モバイルハウス“住箱”」

川島:ところで、外部デザイナーを使わないスノーピークが、なぜ「住箱」の開発では、建築家の隈研吾さんと取り組んだのですか。

山井:屋外にあるタイニーハウス、つまり小屋のような建築物を、隈さんに作ってもらえないかと相談したところ、乗り気になってくれたのです。また、隈さんの建築家としての原点が旅にあるということで、「移動する建築」というテーマを面白がってくれました。僕たちも、隈さんがどんなものを出してくるのか興味津々で、世の中になかったものを一緒に作っていく経験は、おおいに勉強になりました。

川島:「住箱」は、見た目は木でできたシンプルな四角い箱で、タイヤが付いているもの。形態としてはトレーラーハウスですが、木でできているのが特徴的です。パンフレットには「トレーラーハウスを木でつくることで、住まいと自然との関係を、取り戻そうと思ったのです」という隈さんの言葉が添えられています。