不満に応えないといけないと強く感じた

川島:どんな声が集まりました?

山井:「モノはいいけれど値段が高い」、「店の品揃えが充実していない」など、商品や売場について、たくさんの声を聞くことができました。そして、真のお客さんの声にこそ、きちんと応えなければならないと強く感じたのです。でも、そう考えれば考えるほど、悔しくて眠れなくなってしまって(笑)。翌日、新潟へもどる車中で、ある決心をしました。

川島:何がそんなに悔しかったのですか。

山井:モノについてはお客様も認め、納得してくれていると思っていたのに「価格が高い」と言われてしまった。また問屋経由だった我々には、どこにその製品が並んでいるのか把握できておらず、店頭に商品が並んでいない売り場は「品揃えが悪い」と言われてしまったのです。つまり、既存の流通経路を踏襲していたことにより、どうやってお客様に届けるところをしっかり考えていなかった。これは悔しいと思ったのです。

川島:山井さんの決心とは?

山井:うちの流通戦略を抜本的に見直さなければ、そこに踏み込まねばならないと思ったのです。まず、問屋を介するチャネルは、すべて止めることにしました。いくつもあった店舗を地域で一店舗に絞り、直接、取引することにしたのです。しかも、すべての店舗に、カタログに載っている商品を幅広く扱ってもらう特約店になってもらったのです。

川島:直接取引することで、中間マージンを下げて価格に反映させるとともに、特約店として、スノーピークの商品をたくさん置いてもらったわけですね。でもそれって、既存の取引先からの抵抗もあっただろうし、特約店になってもらう契約も、そう簡単には結べなかったのではないでしょうか。非常に面倒くさいことを断行したのですね。

山井:たしかに。でも、決めたからには即、やらないといけない。そう思って、1年間で、約1000店あったショップを、250店程度まで減らしたのです。短期集中で徹底してやったのが功を奏し、割合と早く成果が出ました。2000年あたりから、増収増益に転じることができたのです。

川島:成果がちゃんと出たということは、選んだ道は間違っていなかったということですね。

次回「『グランピング』は地方創生とつながっている」もぜひお読みください。

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「ヤンストーブ レギ」としていましたが、「ヤエンストーブ レギ」に訂正します。本文は修正済みです [2018/02/02 19:50]
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