しかも、大事なのは、都道府県ごとに生産計画を作っても、農協や農家に対して実行を強制することはできない点だ。かつてと違い、計画を守らなくても地域や農家にペナルティーがかかることはない。計画はあくまで目安。相互監視で減反を強制してきた集落の機能も弱まっている。

 農協には当面、上から同調圧力がかかる恐れがあるが、それも時間の経過とともに限定的なものになるだろう。ここから先のテーマは、変革が静かに進む背景にある構造問題だ。構造の変化はすでに始まっている。

「多収米」が焦点に

水田を耕作放棄地にしないのが今後の課題
水田を耕作放棄地にしないのが今後の課題

 上部組織の全国農業協同組合連合会(全農)と他の売り先を比べ、有利な相手にコメを売っている農協はいくらでもある。全農も3割まで下がったコメの集荷率の減少に歯止めをかけるため、下部の農協との取引強化に躍起になっている。そこで焦点になるのが、外食やコンビニで需要の多い多収米の生産だ。これも、コメの生産に変革を促す原動力になる。

 もう1つ大きいのが、生産規模の拡大による効率の向上だ。減反は農家に一律に減産を求めることから出発した。減産しながら、生産効率を高めることなどまず不可能。だが、高齢農家の大量リタイアが日を追うごとに加速し、担い手に田んぼが集まり始めたことで、減反制度のもとでも規模拡大が可能になった。かつて稲作は1~2ヘクタールの零細経営ばかりだったが、今は100ヘクタール超も珍しくなくなっている。

 彼らにとって大事なのは、広大な農地で何を作ったら収益が最大になるかだ。農業特有の事情だが、そこには作物ごとの補助金が絡む。そこで、補助金が出る作物の収益性と、コメの増産によるコスト削減や販売拡大を天秤にかけることが経営の課題になる。何を作ろうと、ペナルティーはない。

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