アメリカと日本で特許
クロロフィル蛍光計測の技術で、どんなことがわかりますか。
高山:植物の具合が悪いかどうかがわかります。同じ光環境でも、調子のいい植物はたくさん光合成します。「植物が何かにびっくりしている」「昨日よりリスクが高まっている」といったアラームを鳴らすんです。植物の見た目は何も変わらない段階で、気づきを誘発します。環境のデータと合わせて見ることで、「この2週間は昼の気温を気にしている」「ここでは2日前の日照を気にしている」といったことがわかります。
この技術はアメリカと日本で特許を取得しています。オランダは審査中です。オランダにも僕たちと同じコンセプトの技術はありません。農業技術で有名なワーゲニンゲン大学も似たようなものを作りましたが、商品化できなかったので、「技術を統合したい」と打診を受けています。僕らの技術は井関農機に特許をライセンスし、2015年に商品化しました。

光合蒸散リアルタイム計測はパフォーマンスを測る技術ですね。
高山:透明なビニールで植物を覆い、下から空気を入れ、上のファンで排気します。植物が光合成で二酸化炭素を吸い込むと、出て行く空気の二酸化炭素の濃度が低くなる。それを測る技術です。来年度早々にも商品化する予定です。
農場が大きくなると、センサーもたくさん必要になりませんか。
高山:面的な把握はそれほど重視していません。大規模な生産システムは、均一な環境を作る方向で技術開発がどんどん進んでいます。1ヘクタールを超える面積を均一なものとして扱い、1つの計測点で環境を調節するんです。空間の分解度が高いと決定的な問題がわかるかもしれませんが、環境調節に活かすことができないので、どうしようもないんです。それよりも、5~10年度には環境ムラのないハードウエアが主流になるでしょう。
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