日々大量の野菜が出荷されるJA邑楽館林の施設(群馬県館林市)

 一方、資材価格をめぐっては「全農が割高なため、全農から仕入れる農協はホームセンターより割高」との指摘もある。実際はどうか。JA邑楽館林はそうしたことがないよう、周辺のホームセンターなどの値段を定期的に調べ、おおむね自分のほうが安いことを確認している。

 読者のなかには「できすぎた話だ」と感じる人もいるかもしれないが、こういう試みが生まれ、続いてきた背景にはそれなりの事情がある。きっかけは40年余り前、青果物の大型の集出荷センターを新設したことにある。問題はなぜセンターをつくったかだ。

各地の市況を比べて「有利販売」

 背景は2つある。じつは当時、近くに産地市場が3つあり、キュウリやナスを農協ではなく、市場に直接出荷する農家が少なからずいた。農協外の流通に回っていた農産物を、農協に集めるための切り札としてつくったのが集出荷センターだった。

 もう1つは、農協の既存の施設を利用するが、農産物の販売はみずから手がける農家のグループが複数あったことだ。農協からすれば、施設の利用料は徴収できるが、販売手数料は入らない。一方で農家の側も、夜中まで出荷作業に追われるなど、過重労働に悩まされるという問題を抱えていた。

 この2つの勢力を取り込み、集荷量を増やすにはどうしたらいいか。もちろん、新しい青果物センターが大きくて使い勝手がいいだけでは農産物は集まらない。そこで掲げたのが、「有利販売」だ。農家がみずから売るといっても、販売先はせいぜい東京市場。そこでJA邑楽館林は、各地の市況を見比べて、より高い先に売る仕組みをつくったのだ。

 これが「農産物を1円でも高く売る」という意味だ。JA邑楽館林には、かつて「全国が市場」という標語が額に入れて飾ってあったという。「農薬や肥料などの資材を1円でも安く提供する」という取り組みも、これとセットで始まった。どちらも、農家の所得を増やし、求心力を高めるための措置だ。

 こうした努力は、いまも止まることはない。昨年も家畜のエサにする配合飼料の仕入れ先を増やし、価格の比較で仕入れ値を下げることに成功した。