進化の予感

 量から質へ――。植物工場の進化を予感させるインタビューだった。醍醐店主の野村さんはそれを、仏教に由来する精進料理の考え方に照らしながら、新しいものに挑戦することの意義を、明快に説明してくれた。

 思いやりの心を込め、最高の料理を提供する。そのためにはタブーを設けず、新しい食材を探究する。ただし、野村さんが説くそれは、基礎のあいまいな無秩序な食の創造ではない。インタビューではそのことを、「型破り」と「形無し」という言葉の違いで説明してくれた。型を知っているからこそ、それを乗り越える挑戦が可能になる。

 文化は新しい何かを取り入れ、アップデートしながら更新される。その文脈の中に、工場で作った野菜が登場したことは、農業の未来にとって大きな一歩だと思う。インタビューをずっと横で見ていた湯川さんが最後に語った「できますよ」という言葉の先の展開を、引き続きウオッチしたい。

新たな農の生きる道とは
コメをやめる勇気

兼業農家の急減、止まらない高齢化――。再生のために減反廃止、農協改革などの農政転換が図られているが、コメを前提としていては問題解決は不可能だ。新たな農業の生きる道を、日経ビジネスオンライン『ニッポン農業生き残りのヒント』著者が正面から問う。

日本経済新聞出版社刊 2015年1月16日発売