点数は腕

 まるで、食味計の点数をブランドの価値にしていることを、自ら否定するかのような説明だった。だが、続く説明は直球だった。

 「高い点数を取れる人は、うまいコメを作れる人です。でも、点数が高いコメがおいしいとは限らない。点数が勝負の基準になるときは、おいしさではなく、まずどうすれば点数が高くなるかを研究しているんです」

 高橋氏によると、彼らの営農は会社と同じだという。

 「圃場ごとのクセをファイルに全部記録してあって、どれだけ肥料をやれば点数が上がるかをわかっています。今IoTとか言っていることを、アナログでやっているんです。点数が低い人は『ただの農家』です」

 ここで、ブランドとは何かを改めて考えてみよう。コンクールで官能検査に進むには、食味計で一定の点数を上げ、一次審査を突破する必要がある。彼らはそれをわかったうえで栽培をコントロールする。コンクールで入賞することは、ブランド化に役立つ。ただし、本当においしいコメを作ろうと思えば、違ったやり方をするような栽培方法の「引き出し」がある。

 だから高橋氏は彼らに「一番おいしいコメをください」と求め、顧客にブランドを説明するときは「点数は彼らの腕です」と話す。

 「おいしいコメ」について、何か特別な理想を抱いている人にとっては、冷めた言い方に聞こえるかもしれない。だが高橋氏はさらに踏み込み、「ぼくにはどのコメがとくにおいしいかはよくわかりません」とまで言い切る。

「食味値は農家の腕の証し」と話すアップファーム代表の高橋隆造氏