今回は、コメのブランド化について考えてみたい。取り上げるのは、腕に自信のある各地の稲作農家のコメをシリーズ化しているベンチャー企業、アップファーム(大阪府吹田市)だ。
家で食べたいと思うブレンド
米・食味鑑定士協会(大阪市)が毎年実施しているコメの食味コンクールがある。応募のあったコメを審査員が食べ比べ、「金賞」や「特別優秀賞」を表彰するコンテストだ。その前段として食味計で玄米の水分値やアミロースの含有量などを測り、「食べ比べ」の対象にするコメを選別する。
念のために触れておくと、日本穀物検定協会(東京都中央区)が実施している食味ランキングとはまったくの別物。食味ランキングは「魚沼産コシヒカリ」など、産地と品種の組み合わせで「特A」や「A」を選ぶ。これに対し、食味コンクールが評価の対象にしているのは個々の農家だ。
アップファームが2014年に立ち上げたブランド「米風土(まいふうど)」は、このコンクールの結果を活かした。パッケージには2つのパターンがある。金賞など表彰の対象になったコメや、その上の「ダイヤモンド褒賞」をとったコメは、生産者の名前を大書する。そうでないコメは、食味計の点数を真ん中に書く。その場合も生産者の名前を脇に明記する。
このシリーズの延長として、2016年産から「匠ブレンド米」というブランドを商品化した。今回クローズアップしたのは、和食の田村隆氏、四川料理の陳建一氏、イタリア料理の落合務氏、フランス料理の坂井宏行氏の4人のカリスマシェフと、服部栄養専門学校の服部幸應校長だ。これまでは農家の名前をメーンにしてきたが、今回は「コメを使う側」の名前を前面に出した。
ポイントにしたのは、「5人が家で食べたいと思うコメのブレンド」だ。シェフが運営しているレストランと絡めると、「実際に店で使っているかどうか」が制約になってしまうため、あえて5人が得意とする料理とは切り離し、店名ではなく、5人の名前と農家の組み合わせでブランド化した。

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