農政に関わり、批判的な立場を維持した生源寺真一氏

 今回は、キーマンに取材して平成の農政をふり返るとともに、ポスト平成時代の課題を探る企画の第3弾。インタビューしたのはこの連載の常連、福島大学の生源寺真一教授だ。

 生源寺氏は旧農業基本法に替わる食料・農業・農村基本法の制定やコメの生産調整(減反)制度の見直し、基本計画の策定など農政に幅広く関わってきた。まさに平成の農政の「証言者」とも言うべき存在だ。

 ここで証言者と表現したことには意味がある。農政で長年重用されながら、政府や与党のやることに一定の距離を置き、批判的な立場を守ってきたからだ。そういう姿勢を保っているから、筆者も度々意見を伺ってきた。

 みずから政策の立案に関わっていながら、実現したものを後から批判することに対しては、反論も予想される。「政策があるべき姿にならなかった責任の一端を本人も担っているのではないか」と。

 そういう見方はわからないでもないが、筆者は立場を異にする。まるで政権の方針に寄り添うように、政権のやることにお墨付きを与える発言をする研究者がいることを否定できないからだ。中には、中立を旨とする研究者としての良心を疑わざるを得ないような発言をする人さえいる。

 そうした中で、政府にとって耳に痛い指摘もくり返しながら、生源寺氏は農政の真ん中に居続けた。そもそも研究者の立場で、自分の考えを政策に100%反映させることは難しい。そのズレをインタビューを通して語ってもらうことには、一定の意義があったと思っている。

 取材のテーマはコメ政策。先端技術の農業への応用など農政が対応すべき前向きな課題は数多くあるが、稲作をこれからどうするかという問いかけほど重い政策テーマはない。稲作農家の数の多さが政治への影響力を生む図式を含め、今もなおコメが日本の農業の構造を根底で規定しているからだ。

 日本のコメ政策のどこに問題があるのか。問題の背景はなにか。生源寺氏はこの問いに対し、インタビューで明確に答えてくれた。