農地制度を廃止したらどうか

2012年に始まった「人・農地プラン」では市町村でさえなく、集落の話し合いで、地域を担う農家を決めることになりました。

高木:ああいうやり方しかなかったのかもしれないが、どうしても行政が絡むと、話し合いに比重が置かれてしまう。日本の農政の一番のネックだ。話し合いが手続きの中に入ると、何となくわかりやすくて、「みんなが合意するならしょうがない」ということになる。

 もちろん、話し合いは不要ではない。ただ、話し合いがうまくいかなかったとき、どうなるか。最終的に妥協の産物になる。そこが日本の農政の非常につらいところだ。「集落の和」はたしかに大切だ。ただ「この人が中心的な経営体になるのは嫌だ」とか「この人なら、あいつも嫌と言わない」といったことが話し合いの中で優先されてしまいかねない。

 くり返しになるが、話し合いは絶対に必要だ。だが、一定の話し合いをしたあとはどこかで決めないと、いろんないい仕組みを作っても、運用段階で骨抜きになってしまう。ナスダックではないが、農業経営体を上場して評価し、ランクづけするような仕組みがあってもいいのではないかと思う。

では、どうやって農地を守るべきでしょう。

高木:少子高齢化で市町村が消滅するということが、現実のものになりつつある。その関連で、所有者が不明の土地がどんどん増えている。国土の基盤を揺るがすような話だ。土地があっても、使うことができない。非常に不安定な状態であり、いまの土地制度では対応できない。

 毎年毎年、ちょっとした手当てをしているので、国民もいろいろ言われても深刻さがわかりにくい。田舎に帰れば実際にどれだけ深刻なのかわかるが、日本全体としてどれだけ深刻なのかということにはなかなかつながりにくい。政治や行政はそこを示すべきだろう。

 いままでの延長線上にはないことを提示する。「5年後こんな姿にする。だから、いまから準備しましょう」ということを明示することができれば、日本の農業者も国民も対応する能力はあると思う。

 農地制度が所有から利用に変わったのはいいことだが、制度の大元は何ら変わっていない。農地の貸し借りを決めるのは、(地域の農業者が中心の)農業委員会だ。農地制度をいっぺん廃止したらどうかと思う。農地の利用と経営をもっと結びつけ、単純で使いやすい仕組みにしたらいいと思う。