複雑な出荷の方程式

 出荷所は17カ所にある。扱う野菜の種類は多いときで約40種類。野菜を積むケースは約10万。青森から大阪や京都まで、野菜を運ぶ市場の数は40前後。そのために使うトラックの数は110~120台。常時ここまで多いわけではないが、冬場のピークは毎日これだけの荷が動く。配車の組み合わせがどれだけあるのかわからないが、結構複雑な方程式であることは間違いない。

 考慮すべき点はこれにとどまらない。使っているのは大型の10トントラックで、1台に950ケース載せることができる。ある市場に運ぶケースがちょうど950ならことは簡単だが、そう都合よくいくはずもなく、1台のトラックで複数の市場を回り、輸送効率を最適にする組み合わせを考える。17ある出荷所にどの野菜がどれだけ集まるかも判断材料になる。

 ここで重要なのが、運送会社に払う代金だ。代金は「1ケースいくら」でシンプルに決まる。ガソリン代や高速代は運送会社の側の経費。そこで、遠くの市場に行くトラックほど、満載に近づける工夫が必要になる。横浜に行くくらいなら、「ケースの数が少ないですが、お願いします」「近いからいいよ」といったやり取りが成り立つ。だが、青森の市場への配車はそうはいかない。そこで、複数の市場をどう回ってもらうかがポイントになる。

 問題の根幹にあるのが、農業特有の難しさだ。工場のように出荷量を緻密にコントロールすることができるなら、ことはもっと簡単だろう。だが農業の場合、畑の状態や農家の腕によって収穫の適期に違いが出る。しかも、それが天候の影響を受けて揺れ動く。「明日雨が降りそうなので、今日収穫せざるを得ない」こともあるだろうし、急な雨で出荷を見合わせることもあるだろう。それらの影響が様々に重なって、相場が変動する。

 上に書いたように、配車の手配を考え始めるのが午後3時ごろ。では、計画を作るのに何時間かかるのか。ピーク時だと、「終わるのはだいたい夜10時ぐらい」。慣れない人だと家で夜通し考えたりすることもある。当然、人によって配車の効率に差が出るが、この作業を1人で毎日こなすわけにはいかないから、多少の差はやむを得ないと考えるべきだろう。想像すればすぐわかるように、大勢で話し合ったから効率が上がる仕事でもない。

 ちなみに、サイボウズのスタッフはプログラムを作成に入る前に、農協の職員に配車計画の立て方を教えてもらった。試しに自分たちでもやってみると、かかった時間は「最速で10時間」。出荷が盛期をむかえたとき、人手に頼って日が落ちる前に終えられるような仕事ではないのだ。