ここまでは一般論だ。膨大な数の圃場をクラウドで管理することは、KSASを利用する際の出発点。農作業を幅広くカバーするシステムの活用には当然のことながら応用編がある。その点を山崎氏にたずねると、「一番やりたいのはコメの食味を分析し、評価すること」と答えた。

 データを使った農作業の工程管理はKSASのメニューのうち、「基本コース」に当たる。さらに「本格コース」に進むと、農業機械とシステムを連動させ、品質や収量を高めることがテーマになる。

コンバインで収量と食味を計測

 そのために、山崎フロンティア農場が使い始めたのが、コメの収穫と同時に収量と食味を計測するコンバインだ。計測したデータを、すでに入力してある施肥量のデータなどと組み合わせることで、栽培方法と収量、食味の関係を分析することが可能になる。ちなみに、食味はタンパク質の含有量で調べる。タンパク質が多いほど収量が増え、食味は落ちる傾向がある。

KSASのシステムと連動したクボタのコンバイン(千葉県柏市)

 山崎氏が食味に関心を持っているのには理由がある。KSASを導入する以前から、食味計を使って独自にコメの品質を測ってきたからだ。品質に応じて値段と売り先を変えるためだ。品質が高いコメは自社ブランドの袋に入れ、地域の直売所などで販売する。食味がふつうのコメは学校給食などの用途に回す。こういう取り組みをやってきたからこそ、KSASで食味を測るのは当然の発想だった。

 ここが一番肝心な点だ。システムを導入し、メニューを見ながら使い道をはたと考えこむのではなく、これまでの経営努力の延長で、それをさらに発展させるためにシステムを活用する。今は専用コンバインで収穫する圃場が限られているうえ、食味でコメを分けて乾燥施設まで運ぶ体制も整っていないため、売り先ごとのコメの分類にはもともと使っていた食味計を使っている。だが、専用コンバインを利用する圃場が増えれば、栽培方法の改善とコメの分類の両方で活用することも視野に入ってくるだろう。