インフラには2つの意味がある。1つはモバイルサービス。「勘と経験」ばかりに頼らず、データを駆使して栽培を管理するこれからの農業にとって通信網は欠かせないインフラだ。それを効率よく活用するための仕組みを、農家とベンチャー企業の双方に提供する。

泥臭く、結び、広げ、高める

 もう1つは、デジタルの世界のイメージの対極にある泥臭い営業活動だ。全国津々浦々にあるショップ網は、ICT化を目指す農家との接点になり、アグリガールが農場を訪ねて様々な機器を販売する。これは、システムの開発をメーンにしているベンチャー企業には難しい仕事だ。

 例えば牛温恵の販売を始めたとき、ドコモが機器を買い上げ、農家に一定の期間無償で提供し、使ってもらうことでサービスの意義を理解してもらった。資金面からも、ベンチャー単独ではできないサービスの立ち上げ方だろう。

 サービスの連結もインフラビジネスの強みの1つだ。畜産関係では牛温恵のほかに、センサーで牛の活動量を測り、発情の兆候を察知する「ファームノートカラー」というサービスを提供している。開発したのは、やはりベンチャー企業のファームノート(帯広市)。ドコモの担当者は「飼料の管理など牛に関する一連の仕事を手がけたい」と話す。目指すのは、通信網と営業ネットワークという2つのインフラの上で多様なサービスが結びつく姿だ。

 アグリ事業を統括する古川浩司常務執行役員は「様々なプレーヤーにとってモバイルを使うことがビジネスのキーになる。1対1の関係ではなく、うちのネットワーク技術を核に第三者同士がコラボすることで、新たな付加価値が生まれる」と語る。情報化が遅れている農業だからこそ、システムの導入は高いレバレッジを伴って事業の高度化に貢献する。

現場に溶け込む努力がサービスを支える(写真提供:NTTドコモ)