プロジェクトで成果をあげたサービスの1つが、「モバイル牛温恵」だ。

牛の分娩、田んぼの見回り、農家の負担を軽減

 牧場では牛の分娩にどう備えるかが大きな課題。出産時に素早く対応し、子牛がケガや病気をするのを防ぐため、前後1週間にわたって牛舎の横で寝ずの番をしたりする。特に最近は子牛の価格が高騰しており、ちょっとしたミスが大きな損失につながりかねない。牧場の経営では必須の仕事だが、高齢化が進む農家とその家族にとっては大きな負担だ。

 牛温恵は農家のこうした負担を軽減するサービス。母牛の体温をセンサーで測り、出産直前の微妙な変化を察知し、農家の携帯やスマホにメールで伝える。2014年に販売を開始し、すでに約1000件成約した。あるアグリガールはたった1人で300件売りさばいたという。

 稲作をターゲットにした「PaddyWatch」も、モバイルの強みを活かしたサービスだ。田んぼの水位や水温、気温や湿度をセンサーで計測し、データをクラウドに集積し、農家がスマホで見られるようにする。

 これは農家の高齢化の先を見据えたサービスだ。高齢農家の大量リタイアで、地域の農業の担い手に急速に農地が集まりつつある。大規模化は売り上げの拡大につながる半面、膨大な数の田んぼをどう管理するかが課題になっている。100ヘクタールを超える経営の場合、田んぼの枚数が1000枚を超えることも少なくない。数キロにわたって分散する田んぼの状態を日々見回る作業は、人件費とガソリン代となって経営を圧迫する。

 PaddyWatchを導入することで、直接田んぼに行かなくても、状況を把握できるようになる。新潟市で4つの農場で実施した調査によると、最も効果が出たケースで見回りの回数が約7割削減した。1社は4%しか減らなかったが、これは「データは届いているが、心配で見に行ってしまった」というケース。田んぼに確認に行くと、データと合致していたという。

水田の状況をセンサーで把握するPaddyWatch(写真提供:NTTドコモ)