コメ政策と稲作はどうあるべきでしょう。

荒幡:惰性で作っている農家のシェアを縮小し、大規模経営や法人経営のシェアを上げていく。これが進むことで、目安は徐々に希薄化し、将来的になくすことが可能になる。経営判断で、需給調整は十分に機能するようになる。

 コメさえ作っていれば国が何とかしてくれると思わせていたのが、かつての農政だった。それをやっていると、日本の農業はいつまでもコメ依存が続く。飼料米についても、「コメを作っていれば、何かうまい具合に補助金をもらえる」という生産者の意識はあまり変わっていない。飼料米は本来、「新しいものを作るんだ」というムードで取り組むべきものだろう。

遠ざかる米国の背中

 農業の現場の動きをリポートすることを目的にしているこの連載で、研究者である荒幡氏へのインタビューは例外的に節目ごとに紹介している。それは、荒幡氏が自治体を含め、農業の現場に足を運んで稲作の動向を調べているからだ。今回のインタビューでも、発言には調査を踏まえた説得力があった。

 それにしても驚くべきは、日本と米国の生産性の格差だ。米国は刻一刻と収量が向上していく。対する日本は、まるで栽培技術のイノベーションを諦めたかのように停滞していた。収量を意識するようになったのは最近のことだ。経営規模の差を加えれば、生産効率で米国の背中はどんどん遠ざかっていく。

 日本の単収の伸びが停滞している背景の1つに、増産を否定してきた減反がある。荒幡氏が指摘するように、現場では自らの判断で作付けを決める経営が登場している。農水省は減反廃止をそうした経営がさらに伸びるための好機とするよう政策努力をすべきだろう。

自ら経営判断する大規模農場が登場している
自ら経営判断する大規模農場が登場している
新たな農の生きる道とは
コメをやめる勇気

兼業農家の急減、止まらない高齢化――。再生のために減反廃止、農協改革などの農政転換が図られているが、コメを前提としていては問題解決は不可能だ。新たな農業の生きる道を、日経ビジネスオンライン『ニッポン農業生き残りのヒント』著者が正面から問う。

日本経済新聞出版社刊 2015年1月16日発売