地場の農家を発掘する新型の八百屋「しゅんかしゅんか」(9月9日「農家の皆さん、名刺を持つことから始めましょう」)のようなビジネスは、韓国では成り立ちにくいですね。

 「すごく成立しにくい。『しゅんかしゅんか』のスタッフはベテラン農家を訪ね、『最近どうですか』『もうちょっと、がんばりましょう』って後押しする。そうやって、関係性をつくる。向こうはそうではなくて、植物工場から、どうやったら効率的に仕入れることができるかに力を入れていると感じました」

 「スーパーですごく面白いものをみました。日本だとアイス売り場みたいなところに、ミストがかかっていて、そこでものすごい種類の葉物が売っている。葉っぱを1枚1枚、よりどりみどりの量り売りです。露地栽培だと雨が降ったら泥がつくし、こんなにきれいでそろった状態にはなりにくい。確認はしてませんが、おそらく、植物工場か立派なガラス張りのハウスで水耕栽培でつくったものではないでしょうか」

「もうちょっと人間的なものに」

日本では農産物を「ストーリー」で売るという手法があります。

 「(韓国では)まったく求められていないんじゃないでしょうか。今回、コーディネートしてくれたのは韓国の地域共同体研究所です。潜在的には、当然、そういうものに関心が深いはずの彼らですら、論点は『農家や農業を何とかしないといけない』ではなくて、『我々、都市住民の生活をもうちょっと人間的なものにしなければならない』っていう方向に寄ってます」

 「日本の場合、自分たちの文化と暮らしを支えてくれている農業に感謝と敬意を抱き、そのストーリーを聞きながら『なるほど』ってありがたく食べます。根本的な文化の違いがあるんじゃないでしょうか。日本人は農業にロマンを求めているところがあるんです」

 「中国もそうかもしれませんが、韓国も食べ物を残しますよね。キムチやプルコギが最初にばんばんって出てきて、みんな手をつけなくてもふつうだし。食べて、残すことに精神的な呵責(かしゃく)がない。我々は出されたものは、きれいに食べなければならないと思っている。ぼくも、子どもたちには『お米は1粒残らず、きれいに食べましょう』って言ってますよ。そういう意味で、向こうは農家への敬意の持ちようが難しいのではないかと思いました」