やればやるほど、役に立てる

 豊作計画というツールを導入し、トヨタ生産方式に触れることで、ツールの範囲を超えて、カイゼンが進み始めているのだ。

 トヨタのスタッフのキツイ言葉を紹介したことで、「大企業の上から目線」と感じた人がいるかもしれない。だが、厳しい言い方をするのは、結果に責任を持とうとしているからだ。しかも、トヨタには自らに戒めている点がある。作業の見直しは指導するが、栽培方法には踏み込まないのだ。それは、プロである農家の領域と考えているからだ。「自分が作ったほうがうまくいく」と考え、農場を開いて失敗する企業と比べ、どちらが上から目線だろう。

 仕事を楽しんでいるという点ではトヨタのスタッフも共通だった。

 「面白い。やればやるほど、役に立てるところが出てきます」

 そして、豊作計画そのものもカイゼンの対象になる。テーマの1つは、圃場や気候の条件が違う様々な地域に対応できるようにすることだ。「愛知と石川で農業のやり方をやっと勉強した段階。中山間地もあれば、町に近いところもある。北海道のような広大な農場もある。もっと勉強し、地域に根ざすことのできる形を作っていきたい」。不断に続くカイゼン活動のプロセスの中に、豊作計画とそれを担当するスタッフもあるのだ。

新たな農の生きる道とは
コメをやめる勇気

兼業農家の急減、止まらない高齢化――。再生のために減反廃止、農協改革などの農政転換が図られているが、コメを前提としていては問題解決は不可能だ。新たな農業の生きる道を、日経ビジネスオンライン『ニッポン農業生き残りのヒント』著者が正面から問う。

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