内浦アグリサービスはロールの生産量を1.5倍に高めた(石川県能登町)

 同様のことは内浦アグリサービスでも起きた。同社は稲を刈り取って、円柱状のロールに束ね、ラップして発酵させ、家畜の飼料にするホールクロップサイレージを生産している。以前は専用の機械で収穫してロールに束ね、トラックで事務所に運んでラップしていた。

ラップ作業の「手待ち」をなくす

 当時は、1日にラップする量は40ロールが限度だった。この量に合わせ、田んぼでロールを作る量を制限していた。この「限度」を変えるため、トヨタの指導で各作業にどれだけ時間がかかっているのかを測ってみた。

 その結果、ラップには3~4分しかかかっておらず、ラップのチームに「手待ち時間」が発生していることがわかった。改善の手法はOneと同じ。収穫チームが運ぶのではなく、ラップのチームが取りに行く方法に改めて手待ち時間を埋めることで、60ロールを巻くことができるようになった。

 カイゼンと呼ぶには、ささいなことと感じるかもしれない。だが、農業の現場にはこうした無駄がたくさん潜んでおり、小さなカイゼンを積み重ねることで、全体がずっと効率的になる。それを可能にするために、トヨタのスタッフは現場でくり返し尋ねる。「なぜ、こうやっているのか」。

 どの農業法人も、トヨタの指導で業務を改善することを楽しんでいた。より正確に言えば、自分たちで改善点を見つけることに喜びを感じ始めていた。

 例えば、豊作計画の活用で先行する鍋八農産は、つま先に強化プラスチックが入った安全靴を履いて作業するようになった。限られた人数で仕事をしており、1人が欠けるとどれだけ大きな影響が出るかを考えたからだ。「次はヘルメットをかぶろうとみんなで言っている」(八木輝治社長)という。