もう1つは、ヤオコーと消費者の関係だ。どんな農家が作ったのかがわかるようにすることで、消費者が目的を持って訪れるような店を作る。ある農家のカボチャはすでに来店客に認知されており、「今年はいつごろ店に来るの?」と聞かれることもあるという。消費者を引きつけるのは、「商品とそれを作る農家に対する信頼」だ。そういう商品をいくつ作れるかが、店の魅力を左右する。

 こういう「顔の見える生産者」が作った商品が青果物に占める比率は、「増えてきているが、イメージで言うと、まだ全体の半分くらい。7割ぐらいまで比率を上げたい」という。果物は8割が目標だ。

マスデメリットの懸念

 農家や産地と直接結びつくのは、農家の手取りの向上という狙いもある。市場を通す流通は一般的に、農家から農協、市場、仲卸、小売という経路をたどり、モノが動く度に手数料がかかる。ヤオコーによるとその結果、「農家の手取りは末端価格の2~3割しかない」。

 市場が決める野菜の細かい等級も高コストの原因になっている。かつて町の八百屋が青果物販売の主役だったころ、八百屋の細かいニーズに対応した名残だが、今や大量の野菜を扱うようになったスーパーにとっては「まったく無意味」。産地や農家との距離を縮めることで、無駄な等級や中間マージンを排除し、農家の手取りを増やして関係を強めることを狙っている。

 もちろん、こうした取り組みをしているのはヤオコーだけではない。農業は今、高齢農家の大量リタイアが始まっており、将来性のある担い手に農地が集まろうとしている。その結果、農産物の買い手と生産者の力関係が微妙に変化しつつある。「生産者が売り先を選ぶ時代」の予兆だ。

 その結果、チェーン展開しているスーパーが直面するのは、マスデメリットの懸念だ。棚を埋めつくす輸入農産物を消費者が受け入れてくれるなら、それでいいだろうが、消費者の国産志向は根強い。そこで、将来性のある産地や農家を囲い込むことが必要になる。