2015年産のコメの需要は前年と比べ、18万トン減った。人口減少などに伴い、コメの消費は毎年8万トン程度のペースで減っている。15年産がこれを大幅に上回ったのは、農水省も認めるように米価が上がったからだ。JA全農が提示した概算金から予測すれば、2016年産も値段が上がるか、高止まりする。コメの消費は今年から来年にかけても大きく減る恐れがある。

 これまでもくり返し指摘してきたが、これが高米価政策の帰結だ。飼料米に巨額の補助金を出して主食米の生産を減らし、主食米の値段が上がる。多くの農家はこれを歓迎するかもしれないが、中・外食業者は高米価に耐えきれずに外国米の輸入に走る。消費者もスーパーの店頭などの価格に敏感だから、コメを例年より買い控え、ただでさえ深刻なコメ消費の減退に拍車をかける。

水面下の攻防は始まりつつある

 いったいこんなことをいつまで続けるのだろう。日本と比べて気候条件に恵まれ、比較にならないほど広大な水田で効率的につくられる外国米とまともに勝負すべきだと言うつもりはない。だが少なくとも、より安い米価でも耐えられるような経営を実現することが、農政にとっても生産現場にとっても課題なのではないだろうか。

 最大の焦点は、2018年に迫った減反廃止をどんな状況で迎えるかにある。国から都道府県、市町村、農家へとコメの作付面積を指示する減反制度は、18年をメドに廃止になる。転作補助金で農家の不安を和らげておかないと、減反廃止そのものが頓挫すると農水省や農林族は考えているのだろうが、その先にどんな展望が開けるというのだろう。

 やはり、問題の根幹に飼料米への補助金がある。主食用のコメを家畜のエサに回しただけで補助金を出す仕組みは、本来、市場にゆだねることを基本とすべきコメの市場を著しくゆがめつつある。こう書くと、「市場原理主義」との批判が出そうだが、そういうことを主張したいわけではない。

 どの程度の米価水準なら消費の減少にブレーキがかかり、どんな経営ならその米価に耐えられるかを探っていかなければ、稲作の将来は見えてこないと思うのだ。それがわからなければ、日本の稲作の衰退を防ぐための政策も組み立てることはできない。高米価はその真逆を行く政策ではないだろうか。

 必ずしも悲観はしていない。矛盾にみちた飼料米の補助金のあり方を見直すための水面下の攻防は、すでに政府内で始まりつつある。どんな政策が日本の農業を救うのか。だれが本当に農業の未来を憂えているのか。機会を改めて、そのことを考えてみたい。