効率化に挑む農家が報われるコメ政策が求められている

 これが中・外食業界を直撃した。飼料米の補助金は品質に関係なく、収量で決まる。そこで当然、農家は高く売れるおいしいコメは主食用に回し、安値でしか売れないコメは飼料米に回す。つまり、これまで外食や弁当、おにぎりなどの食材になっていた、本来は人が食べるはずのコメが飼料用に流れているのだ。

B銘柄も飼料米に

 需給が締まれば、当然、価格は上がる。農水省の審議会の7月の会合で、大手コメ卸の会長は「外食向けは、使いやすい価格のB銘柄が使われるケースが非常に多い。このB銘柄のコメも飼料用米に出していこうということになり、非常にタイトな状況になってきている」と訴えた。すでに業界が相当に追いつめられていることを映す発言だ。

 どれほど重大な事態が起きているか、おわかりになるだろうか。日本のコメ消費は食生活の変化や少子高齢化に伴い、約50年前から減り続けている。家庭の食卓で白米を食べることも以前と比べ、ずいぶん減った。それを補い、コメ消費を支えてきたのが、中食や外食だ。そういう部門が減反政策のあおりを受け、コメの調達に窮している。だが彼らも、値段が上がったからといって、悲鳴を上げているだけでは生き残れない。そこで活路を求めようとしているのが、外国からコメの輸入なのだ。

 ところで、今回の入札では主食用米の落札の大半を、米国産が占めた。こうした状況に、業界では「高米価政策の裏には米国との密約があるのではないか」とささやかれている。もちろん、確証のない話だが、もし環太平洋経済連携協定(TPP)が発効すれば、米国産米の輸入が大幅に増える可能性は十分にある。米国からの輸入枠が優先的に増えるからだ。

 話を足元の動きに戻そう。密約の有無はともかく、高米価の流れは当面、続く可能性が大きい。全国農業協同組合連合会(JA全農)が今年とれたコメを対象に、産地や銘柄ごとに提示する概算金は、2015年産と比べ、軒並み増加した。農協は農水省と連携し、飼料米を推進する立場にある。飼料米へのシフトで主食のコメの需給が引き締まっているのだから、概算金を引き上げるのは当然ということなのだろうか。もちろん、手取りが増えれば農家は短期的には喜ぶ。ではその結果、何が起きるか。