ものづくりに愚直にこだわってきたにもかかわらず、埋もれた農家が日本にはたくさんいる。前回は、東京都内でその発掘に挑戦している青果物店「しゅんかしゅんか」の集荷の様子をリポートした。今回はその続編。

 「しゅんかしゅんか」を運営するエマリコくにたち(国立市)は、大手不動産会社を脱サラした菱沼勇介さんが2011年に立ち上げたベンチャー企業だ。前回取材した山川武士さんは新入社員らしい新鮮な感覚で、農家と接する喜びを語ってくれた。そこで今回は経営者の菱沼さんの目に映る、店舗運営や都市農業の課題を紹介したい。

自家消費から抜け出す

直営店はどこにありますか。

 「国立と西国分寺と立川とで3店、加えて7月に多摩センター三越にもオープンしました。仕入れている農家は全体で100ぐらいあります。農家から農家へと紹介が広がっていくケースがほとんどです。それぞれ狭い地元のなかでやっていくのが、うちの基本的な考え方。国立は国立、立川は立川の野菜を売る。それで足りないものは、ほかの地域と交換し合ってます」

地元の野菜を中心に品ぞろえする「しゅんかしゅんか」(多摩センター三越)

「しゅんかしゅんか」ができる前、彼らはどこに出荷していたんでしょう。

 「そこが結構問題。ごく一部ですが、どれくらい所得があったのか疑問な農家がいます。しかも出し先がほとんどないのに、畑がすごい稼働している農家がいるんです。彼らの場合、基本的には換金されてなかったんだと思います。自家消費。そういうのもあるところが都市農業の不思議なところです」

 「ぼくらが入ると当然、野菜が換金されるようになり、生産量を増やすことができるようになる。そういう農家は結構多いです。まあ、みずから販路を開拓するほど、困ってないんです」

「野菜は理性ではなく、舌で買うもの」と話す菱沼勇介さん(多摩市センター三越)