かなりの大規模経営なのに雑草取りは手作業ですか。

横田:これから先もっと大きくなったときもやりきれるかどうかはわかりませんが、いまはすべての田んぼを1回は歩き、手で取ってもらうようにしています。なるべく農薬に頼らないようにしたいのと、そういうことをしながら「この田んぼって草が出やすいよね」といった知識を蓄積するためです。

 たまに担当を変えることもあります。「自分は水の管理をやってきたけど、こっちの仕事をもっとこうしたほうがいいというアイデアがあります」というので、「じゃあ、やってくれ」とか。「自分の作業は進んでるけど、そっちは遅れているので手伝う」ということも当然あります。そういう話をしながら、やっているんです。

大規模稲作の中には、田んぼごとの作業状況をコンピューターで管理しているところもあります。

横田:うちは担当レベルで紙や頭の中で圃場ごとの進捗状況を管理してます。必要なときは、それを聞けばいい。システムをあまり必要とはしていません。うちと違って、圃場があまりにも分散してると、仕事をやり忘れるということが当然起きます。けっこうな人数が必要になるし、しかもチームが分かれていたりすると、こっちがやるべきことを「あっちがやるはずだ」って思ってしまうこともあるでしょう。そうなると、システムが必要です。

なぜ自律分散型がいいと思ったんですか。

横田:ぼくは農業ってもともと組織的に仕事をしていたはずだと思ってるんです。機械化される前は、1人では作業できなかった。「今日は誰々の田んぼの田植えだ」って言えば、みんなそこに集まって仕事をする。そこで組織的に仕事をしていたはずなんです。

 当時を経験している人が数少なくなってきていますが、彼らの話を聞いてみて確実に言えることがあります。「その家の家主や誰かが『これやってくれ』って指示したんですか」って聞いたら、「指示なんかしねえよ」というんです。みんなそこに集まり、自然と分業し始めるという話でした。かちっとした指揮命令系統があってやっていたわけではありません。

 誰がどうやったら効率よくできるかが、ぱっと見てわかるんです。「この人はこの仕事ができる」「じゃあ、おれはこっちの仕事をしよう」って判断します。そうやって自然と分かれて作業するのは、大変な仕事だからです。少しでも楽に仕事をしたい、少しでも早く仕事を終わらせたいから、自然とそういうことをやっていたんです。

 ところが、時代が変わって機械化されて、家族という小さい単位で仕事するという時代がしばらく続いてきました。でも、また規模が大きくなり、もう一度組織的に仕事をするようになったんだと思います。