企業経営には可能で、家族経営にできないことはありますか。

沢浦:付加価値の創造だと思います。今日明日、いいものを生産するという面では、家族経営には強みがあります。でも、どうこの先の顧客のニーズに応えるか、商品とサービスをどう開発するか、それに向けて将来の生産体制をどう変えていくか。そういった課題に対応することは家族経営では難しい。10年後、20年後の世の中が要望するものをつくり出していくことは家族経営ではほとんど不可能です。

 うちも生産部門の社員は一生懸命頑張ってくれてます。でも、商品開発は別の部隊がやってます。1人で両方をやるのは、物理的にも時間的にも不可能なんです。社員それぞれがどういうことをやりたくて、どんな能力があり、どういう階層でやればいいのか。それを見極めて人材を配置しないと、組織のパフォーマンスが上がらない。これは、個人の農家ではできないことです。

 適材適所です。体力には自信がないけど、事務管理ならできる。細かいことは好きじゃないが、畑で体を使うのは好き。食品のことが好き。それぞれが最大限能力を活かす場所を作ることができるのが会社です。

 家族と企業の経営の違いに戻れば、新しい付加価値を生み出す機能を持っている家族経営は、自然と企業経営になっていきます。付加価値を生み出せないところは、企業であってもだんだん家族経営的になっていくんです。

ちゃんぽんのスープにシラタキを

付加価値とは何でしょう。

沢浦:困りごとの解決や不便さの解消。みんな言っていますが、簡単に言うとそういうことです。顧客が要望しているものを、ものまねや二番煎じではない形で開発する。恥ずかしながら、最近、そういうことがわかってきました。

 自分も50歳を過ぎて、食べたいけど、食べると血糖値が上がったり、体重が増えてしまったりする。我慢しなければいけないけど、それはストレスになる。自分と同じような人が世の中にたくさんいる。そういう人たちに手軽においしく食べてもらえるものは何か。コンニャクは低カロリーとみんなわかってますが、ではコンニャクをしょっちゅう食べられるでしょうか。

 最近、ちゃんぽんのスープにシラタキを入れた商品を発売しました。封を開け、野菜を足して鍋でゆでればちゃんぽんになります。翌朝の血糖値は通常の食事をとったときより低いし、「上がりのラーメン」を食べたときと比べると、もっと低い。それだけ、体にいいわけです。

 小麦の麺の代わりにコンニャクが付いている商品はあります。コンニャクを洗ってゆでて、スープを入れて仕上げるタイプです、でも、これって食べるとやっぱりコンニャクはコンニャクなんです。うちのは、スープの中に専用のシラタキが入っているので、スープが絡んで味がしみていて、しかも開けてそのままゆでるだけという便利さがあります。

沢浦彰治氏は「家族経営では付加価値の創造は難しい」と話す。