だが、消費者の離反を覚悟で農家を守るような政策が、本当に農家への後押しになるのだろうか。消費者の利益をどう考えているのだろうか。日本炊飯協会は「収量を上げるなどして稲作のコストをもっと引き下げ、国産米を安く供給できるようにするのが政策の役割だ」と訴える。

ビジネスの当たり前を

 もちろん、政府も稲作のコストの4割削減を掲げるなど、効率化を宣言してはいる。だが、この連載で幾度も強調してきたように、いまの農政は既存の稲作の構造の温存につながりかねないような手を打つなど、効率化に向けてアクセルとブレーキの両方を踏んでいる状態だ(3月25日「『高米価』で農家を追いつめるチグハグ農政」)。

 農政の問題をここで細かく指摘することは、これまでの記事と重複するので避ける。1つだけ言いたいのは、より良いものをより安い価格で提供するという、ふつうのビジネスでは当たり前のことに、なぜ農政の目標を純化させないのかということだ。消費者の利益にそっぽを向いたままで、なぜ農業を守れると考えるのか、理解に苦しむ。日本の稲作に効率化の余地がないならともかく、非効率な構造を温存したままでどうやって農業を振興しようというのだろうか。

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