今回取り上げるのは、オイシックスが宅配で提供するミールキット「Kit Oisix(キットオイシックス)」だ。ミールキットは野菜や肉、魚などの食材と調味料をレシピ付きのセットで届け、調理時間を短縮する食の新分野。欧米で先行して普及している。

「20分で作れる」が売りのキットオイシックス。
「調理の一歩手前」まで準備してある。

 ふつう新聞などでは、特定の商品だけで特集を組んだりせず、似たような例をいくつか集めて記事にする。「1社もの」だと、宣伝っぽく見えてしまうからだ。だが、日本ではまだミールキットがあまり普及していないことを踏まえ、その先導役であるキットオイシックスに絞って紹介したいと思う。そこに、この連載のテーマである「農業再生のヒント」があると思うからだ。

 オイシックスは、オイシックス・ラ・大地(東京都品川区)の宅配ブランドの1つ。有機野菜の販売の草分け的存在である「大地を守る会」と事実上のその分派である「らでぃっしゅぼーや」、2000年創業の新興勢力の「オイシックス」が最近、統合と買収を通してできたのが、オイシックス・ラ・大地だ。顧客層と戦略が違う3つのブランドはそのまま残すことになっており、キットオイシックスは引き続きオイシックスのブランドで提供している。

 キットオイシックスは、安全で安心な食材を使い、主菜と副菜の2品をそろえ、時間をかけずに調理できるのが基本コンセプト。調理時間の目安は20分以内。ここで強調すべきなのは、総菜やレトルト食品と違い、短時間とはいえ、自分で調理することが前提になっていることだ。

キットオイシックスという商品名は高島宏平社長が考案した。