品目を絞り込んだ狙いもじつはそこにある。慣行農法の畑と有機栽培の畑を切り離して考えるのではなく、両者の違いと共通点をはっきりさせるようと考えたのだ。ナスとズッキーニを選んだのは、同じ時期に同じ日高農場で栽培しているからだ。

虫の付き方が違う

 作物ごとに適期を見極めることも、有機栽培をやる目的のひとつになった。適期に絞って作れば、虫がつきにくく、病気にもなりにくいからだ。4月中旬までレタスを有機栽培でうまく作れたことで、今までより強く旬を意識するようになった。作物ごとにそれがわかってくれば、慣行農法の畑にも応用し、農薬の使用を抑えることにつながる。

 慣行農法との比較でさらにわかったのが、虫の付き方の違いだ。慣行農法と言っても農薬の使用は厳しく制限されており、どうしても虫は出る。歩留まりが100%なわけではない。そこで虫の出方を比べてみると、有機栽培は特定の株に集中して虫が付くのに対し、慣行農法は虫が出るときはまんべんなく出ることがわかった。

 なぜ違いが出たのか。有機栽培のほうは初めての挑戦だったこともあり、少なめに肥料をやり、足りなければ追肥をするという手法を選んだ。スタッフが今感じているのは「慣行農法は栄養過多になっているのではないか」という可能性だ。今は仮説でしかないが、理由がわかってくれば、慣行農法の畑の施肥を適正化することにもつながるだろう。

 ここまで、有機農業への挑戦を始めたイオン農場の現場の様子を紹介したが、この原稿の本題はそこにはない。農場の現場で今気づいたことの中には、有機農家の多くがとっくの昔に乗り越えた課題もあるだろうし、慣行農法をやっていない有機農家では気づき得ない知見もあるだろう。いずれも、現場でノウハウを蓄積していくべきテーマだ。

作業のひとつひとつを細かく管理する(埼玉県羽生市)
作業のひとつひとつを細かく管理する(埼玉県羽生市)

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