コメではなく、野菜には多くの企業が参入している。イオンのように各地で農場を運営し、安定して事業を拡大している例もある。これに対し、三井住友銀は「すでにビジネスとして成り立つことが明らかな分野への参入は、新規業務の開発とは言えない」という。「変化が起きてから果実を取りにいくのではなく、自ら市場をつくりたい」。

 既存の農家の多くが「もうからない」と嘆く稲作で、企業なら利益を出せるのか。コメは日本を代表する農産物であるにもかかわらず、農林水産省によれば平均的には赤字で、補助金を出すなど様々な形で経営を支援している。三井住友銀は「そこに新規ビジネスを見つけ出す着眼点がある」と強調する。赤字の背景には構造的なゆがみがあり、そこを正せば利益を出せるという発想だ。

 ここまでが計画の概要だ。まだ始まっていない事業について、計画ベースでこれ以上細かく説明しても、説得力を欠くだろう。そうではなく、既存の参入例と照らし合わせながら、上に挙げた計画のポイントについて考えてみたい。

オムロンの敗因は「過信」

 例えば、オムロンは20億円以上の巨費を投じ、1999年に北海道千歳市に7ヘクタールのトマトの栽培施設をつくった。機材は、太陽光型の植物工場で世界の最先端をいくオランダから輸入した。メディアは当時、オムロンの高度な技術とオランダの設備が結びつくことで、日本の農業を変革できるかのように報じたが、3年後にあっさりと撤退した。

 理由はいろいろあるが、栽培が軌道に乗らなかったことが大きい。施設を使いこなすことができず、トマトをまともに育てることができなかったのだ。「夏は暑く、冬は寒い」という千歳市の気候に、オランダの施設が合わなかった。それを補うだけの技術も身につかなかった。

 敗因は、十分に栽培ノウハウを蓄積していないのに、いきなり巨額の投資をしたことにある。もし、オムロンが違う分野に参入していたら、こんな無謀な投資をしただろうか。農業を下に見ていたとは言わない。だが、自らの技術への過信があったと言わざるをえないだろう。