「小さく産んで大きく育てる」というやり方はありませんか。

北島:製造業と同じで流通のことを考えると、量がないと話ができない相手がたくさんいます。関東に100店舗あるスーパーと取引がありますが、1種類のリーフレタスが1日に6~8パック売れるとすると、600株以上になります。もし、2、3種類を売ろうと思うと、1000~2000株です。実際にはそこまでは行っていませんが、大手スーパーを相手にするとどうしても供給能力が必要になります。

 さらにオペレーションコストのことも考えると、生産性を高めるための工場のミニマムの大きさがあります。スーパーは相場とつき合っているので、需要の変動に耐えられるようにするには、2割ぐらい生産余力を残しておくのが理想です。それを実現しようと思うと、スプレッド以上の規模がないとうまく事業を回すのは難しいと思います。

バリエーションは、これから

植物工場の野菜というと、リーフレタスのイメージが強いように思います。もっと種類を増やせないのでしょうか。

北島:工業的な野菜の生産は回転数の速いものからビジネスになってきたという歴史があります。スプラウトやもやしは栽培日数が1週間。リーフレタスは1カ月から1カ月半です。ここからいきなり果菜類に行くことはないでしょうが、次は花の生産が始まる可能性もあります。

 いまリーフレタスが中心になっているもうひとつの理由が、市場規模の大きさです。レタスの市場規模はかなり大きい。そう考えると、ホウレンソウやニラ、ネギなども植物工場で作りやすい野菜に入ります。バリエーションはこれから高まっていくと思います。

当面の事業展開を教えてください。

北島:兵庫県で地元のゼネコンが建てた中規模の植物工場を今年1月に買収しました。初の自社工場です。

 イノベタスのように自社工場でないタイプでは9月に三重県、年末に静岡県で工場が稼働する予定です。ただし、三重はサポート型ですが、静岡のほうは共同出資です。東北と九州でも計画があります。いろんなパターンを受けることができるようにしたいと思っています。

 人材育成のための子会社も去年作りました。兵庫の自社工場がトレーニングセンターになります。農業はもっと知見を増やし、生産性を上げる必要があると思いますが、人が集まらないとそれは難しい。新しい技術だと、人を集めやすいと思います。人を集め、勉強してもらい、彼らが巣立って産業としての農業を作っていってほしいと思います。

人材教育を手がける兵庫県伊丹市のトレーニングセンター(写真提供:ファームシップ)
トレーニングセンターでの教育風景(写真提供:ファームシップ)