多くの植物工場の運営が軌道に乗らない原因は何でしょう。

北島:オペレーションコストに占める固定費の割合がかなり大きいのが植物工場の特徴です。

 言い古されていることですが、初期コストが過大だという問題があって、減価償却がオペレーションコストの半分を占めるといったことが起きてしまいます。これはなかなか重い。日本の電気代が世界的にみても高いという点も負担になっています。

 加えて人件費です。植物工場はちょっと前まで、「ボタン1つで野菜ができる」というふうに勘違いされていました。スプレッドで働かせてもらって感じたのは、基本的に外の栽培施設を部屋の中に持ってきたのが植物工場だということです。太陽がさんさんと照りつける中で働くのと比べれば楽ですが、やっていることは農業です。

大切なのは、人づくり

コスト以外にも問題はありますか。

北島:農業を知らない人たちの新規参入が多いんです。しかも、植物工場で働いた経験のないパートを使ってやろうとするから、なかなかうまくいきません。植物工場をやりたいという相手にまず話すのは、「中途半端な気持ちでやるなら、やめたほうがいいですよ」ということです。

 露地栽培と同じですが、大切なのは人づくりです。1、2年やったところで、野菜のちゃんとした作り方はわかりません。それに加えて、植物工場は機械設備のかたまりのような面があり、ハードの使い方やクセも理解する必要があります。

 人工光で作ったら完璧にできると思われているのかもしれませんが、植物工場にも季節変動があります。完全に人工的にコントロールできる環境を作り出せていないし、それをやろうと思うと、コスト的に合わなくなります。これを言ってしまうと、もう植物工場ではないと思われるかもしれませんが、匠(たくみ)の部分がまだ残っているんです。

 そういったことを誰も知らない状態で、野菜を安定的に作る環境を維持するのはかなり難しいことです。