近正さんのように、米の作り方から保管の仕方まで詳しく説明できる農家は少なくありませんか。

黒木:「少ないですし、僕にとってもお米のことをちゃんと考えるきっかけになりました。それはお客さんに考えてもらうきっかけにもなる。何で『くろぎ』はこんな金額をとるのか。このお米はなぜおいしいのか。いままで食べていたお米と比べてどうなのか。食べた人が自分に問いかけることになる。そういうことをシミュレーションしてるんです」

山奥の田んぼで、すべて話した

近正:「黒木さんにはすべて話しました。土作りも含めた作るところ、保管、調整、精米のすべてについて話しました。だって、あんな遠いところまで来てくれたんですから。新潟駅から阿賀町まで1時間、さらに山奥の田んぼまで1時間。なかなかないんですよ、お話しできる機会が。バイヤーのなかには田んぼを見に来ない人もいるんです」

 「生意気な言い方になるかもしれませんが、バイヤーに『いま御社が扱っているお米より、うちのほうが絶対に価値ありますよね』って言っても、答えは『もう長いつき合いだから』だったりする。僕はこういうのと闘っていきたいんです。消費者にはただ安ければいいと思ってる人もいれば、値段に関係なく、いいものを買いたいと思っている人もいっぱいいる。それを見極めて、お客さんに喜んでもらえるようにするのがバイヤーだと思います。その人たちがきちんとしていないと、農家も育たない。本当にがっかりします」

黒木:「80点の野菜の利益が1000円で、100点の野菜の利益が500円だとします。ビジネスのことだけを考えるなら、1000円のほうを選ぶということですね」