「低カリウム」を強調した商品も(東京都調布市のマルエツ国領店)
「低カリウム」を強調した商品も(東京都調布市のマルエツ国領店)

 手にずしりと重いレタスを、シニア層が1回の食事で食べきるのは難しい。捨てるのはもったいないので冷蔵庫に入れておいて、結果的に傷んでしまうこともあるだろう。「小ぶりの野菜」と先に書いたが、工場野菜の弱点のようにもみえる大きさが、訴求ポイントになっているのかもしれない。

 マルエツも、いま「工場育ちの野菜」コーナーに並べた商品を扱い始めたときは、売れるかどうか半信半疑だったという。「こんなレタスが売れるのかと思いました」。スプラウトもここまで伸びるとは思っていなかった。それが、「コーナーを設けることができるだけの品ぞろえになった」。

想像を膨らませながら

 もちろん、いまの内容で満足しているわけではない。「希望としては、レタスはもう少しボリューム感がほしい」。機能性を明確にうたえる商品や、「完全無農薬」と表記できる商品が登場することも期待している。そういう条件がそろっていけば、コーナーの特徴と強みは一層はっきりするだろう。

 長年農業の取材をしてきたが、こういうコーナーが登場したのは新鮮な驚きだった。まだ実験段階にある売り場の成否を、ここで占うことはできない。マルエツの担当者は「消費者の食生活がどう変化するのか、想像を膨らませながらやっていく必要があると思ってます」と話す。何気ない日常の売り場の一角で始まった挑戦の行方を注視したい。

新たな農の生きる道とは
コメをやめる勇気

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