中核商品の1つのスプラウト(東京都調布市のマルエツ国領店)
中核商品の1つのスプラウト(東京都調布市のマルエツ国領店)

 マルエツが「工場育ちの野菜」というコーナーを設け始めたのは2016年9月。「マルエツ」を中心に221店舗にコーナーを設置している。

 品目数はスプラウトやレタス、ベビーリーフ、ルッコラ、ホウレンソウなど約30種類。蛍光灯やLEDを使った植物工場や、室内環境を制御した太陽光型の栽培ハウスなどで作られた生鮮野菜だ。低カリウムのレタスのように、成分を前面に出した商品もある。

 「大胆」とも映るコーナーを設けたきっかけの1つは、新芽野菜のスプラウトの売り上げが毎年、2桁の高いペースで伸びていることにあった。

 もともとカイワレとスプラウトは同じ棚にあったが、売れ筋の商品を置く下段に並べていたのはカイワレだった。あるとき、上下を入れ替えてみると、カイワレの売り上げは若干落ちたものの、スプラウトがそれを補って伸び、両者を合わせても売り上げが増えていた。

 スプラウトを核とするコーナーを考えたことが出発点。それと並行し、人工光の植物工場で作ったレタスなど同じコンセプトでくくれる野菜が増えていたことで、コーナー化を決断した。

同じ値段でいつもある

 次に考えたのが、「安全・安心」をアピールしやすい点だ。種まで含めて考えれば、工場型の施設で作ったからと言って完全に無農薬とは限らない。それでも、畑でふつうに作るのと比べれば、使用量を抑えることができる。

 もう一つ重要なのが、商品を安定調達できる点だ。人工光型の植物工場はもちろん、太陽光を使うタイプでも、吹きさらしの露地で作るのと比べれば、生産は安定している。とくにここ数年、天候不順で野菜が不足し、値段が高騰することが頻発しており、「ほぼ確実にある」というコーナーは店の強みになる。

 安定は価格面でも共通だ。農産物はふつう豊凶で値段が大きく上下する。これに対し、工場野菜は仕入れ値が安定しており、それに応じて店頭価格も一定にすることができる。相場が下がっていても、原則値下げはしない。「値段は1回崩したら終わり」。定着させたいのは、「同じ値段でいつもある」というイメージだ。

次ページ 裸は嫌、砂も嫌、無駄も嫌