マルエツに登場した「工場育ちの野菜」コーナー(東京都調布市の国領店)

 時間があれば、スーパーや百貨店の食品売り場を見て回ることにしている。野菜の値段がどうなっているかを調べたり、取材先の作物が売れているかを確認したりするためだ。そんななか、マルエツの店頭で面白いものを見つけた。

 スーパーの生鮮売り場では、ふつう最も売れ筋の商品が棚の一番下の段に置いてある。目についたのは、新芽野菜や豆苗で有名な村上農園(広島市)の「ブロッコリースプラウト」だ。隣りには、この連載で幾度か紹介した植物工場ベンチャー、スプレッド(京都市)のフリルレタス「ベジタス」もあった。

ストレートに伝えたほうがいい

 小ぶりの野菜はどれも透明な袋に入っており、パッケージデザインはカラフルで洗練されている。むき出しのキャベツやレタスやニンジンが積み上げられた平台の野菜棚とはずいぶん印象が違う。そんなことを思いながら眺めていると、コーナーの名前が目に入った。

 「工場育ちの野菜」

 「なんと大胆な」というのが最初の感想だった。野菜の魅力について語るとき、ふつう思い浮かぶのは「自然の恵み」といった言葉ではないだろうか。土と水と陽光と、豊かな自然の中で育てるからこそ、おいしくて栄養満点の農産物ができる。そういうイメージを持っている人は少なくないはずだ。

 一方、「工場」という言葉で思い浮かぶものは何だろう。無機的で、硬くて重い機械のイメージだろうか。クリーンルームの中で高度に制御された精密機械を思いうかべる人がいる一方、黒ずんだオイルを連想する人もいるかもしれない。

 「ネーミングを話し合ったとき、工場では硬いという声もありました。もう少し柔らかい感じにするため、『室内育ち』や『何とかファーム』という言葉にしようという意見も出ました。でも、最終的には『ストレートに伝えたほうがいい』ということになりました」

 名前の由来について、マルエツの青果部の担当者はこう話す。