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 ため息が出る、というのが正直な感想だ。あえて実名は挙げないが、久枝氏はこの連載で紹介してきた日本を代表する数々の農場の指導に携わってきた。最近もオランダに行って最新の動向を調べ、現地の企業と連携するための打ち合わせをしてきた。その発言は重い。

 そういう知見をもとに、いまの日本の施設園芸は「危機的な状況にある」と話す。記事では触れなかったが、インタビューで話題になったのが中国。直近の具体的な動向がわからないので詳述はできないが、一党独裁による国家戦略でいくらでも資金を投入できるこの国なら、施設園芸の技術で一気に世界の最先端を狙うことも可能だろう。

「農業団地」の可能性

 では、日本はどうすべきなのか。国の予算で農業団地を造る構想は突飛に思われるかもしれない。だが、水田の整備に巨額の予算をつぎ込み続けているのが農政の実情だ。考えるべきは、どこにいくら資金を投入したらいいのかということだろう。それを踏まえたうえで、久枝氏は農業団地の建設で「ずっと補助する必要はない」と強調する。

 田んぼや畑を回って農業の取材を続けていると、不連続な変化を構想しにくくなる。だが、大切なのは実現できそうにない未来を考え、いまやるべきことを考えることではないか。そんな思いを深めるインタビューだった。

新たな農の生きる道とは
コメをやめる勇気

兼業農家の急減、止まらない高齢化――。再生のために減反廃止、農協改革などの農政転換が図られているが、コメを前提としていては問題解決は不可能だ。新たな農業の生きる道を、日経ビジネスオンライン『ニッポン農業生き残りのヒント』著者が正面から問う。

日本経済新聞出版社刊 2015年1月16日発売

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