オランダの経営者はそれをどうやって学んだのでしょう。

久枝:専門学校がたくさんあって、そういうところで学んでいます。ちゃんと実践的なトレーニングをしていて、それが機能しています。公的な機関や企業もいろんなセミナーを開いています。

 1980年代からガラス温室に環境制御の機械を入れ、炭酸ガスの量をコントロールするというようなことをやっています。私が勉強に行った2000年ごろは、平均でも1ヘクタールぐらいあり、それがみんな環境制御をしている温室なので、技術ノウハウが作られていくスピードが違うんです。すでに5ヘクタールの施設もありました。

 オランダには堤防を守るために力を合わせるとか、共同体でものごとをやる伝統があるようです。私が行ったときも、温室のノウハウを高めるため、5~6人の農家が集まってデータを比較していました。収量や品質の高い人がやっていることが正解です。その人は気温や炭酸ガスをどう制御し、どんな作業をしているのか。そういう比較検討を、ずっとやってきているんです。

難しくても、克服できる

日本はオランダと比べ、気候条件が悪いので難しいという意見もあります。

久枝:たしかに、オランダのほうが断然作りやすい。日照が少ない冬から栽培を始め、植物の生育に合わせて、日照が増えていくという好条件にあります。

 これに対し、日本は夏に植えるので、植物が大きくなっていく肝心な時期に、日照量が減っていきます。夏が暑すぎるからです。トマトは30度を超すと、成長が難しくなります。だから、8月下旬から9月上旬ごろに定植し、気温の下がる10月ごろから収穫を始めるというやり方しか選べません。

 日本は季節の変化だけでなく、1日の間の温度変化も激しい。世羅菜園では、外気温が1時間で5~6度変わることさえありました。いきなり雨が降ったりもします。オランダではそういうことはまずありません。日本は地域に合った技術を作るのが難しいんです。

オランダの7.5ヘクタールの巨大トマト施設を視察する久枝和昇氏