数字をみれば、実績は明らかだ。直売所のうち、POSレジを導入している店舗のデータでみると、運動を始める前の2008年度の地元農産物の売り上げは約5400万円で、エコ農産物の比率は18%。これに対し、2015年度は売り上げが約1億1500万円に増え、エコ農産物の比率は61%に高まった。直売所に出している農家のほぼ全員がエコ農産物の認証を受けている。

まだまだ、手はあるはず

 以上が、都市の農地の保全を目指す東大阪市の取り組みだ。運動はいま、地元の小学生が直売所での農産物の販売や田植えなどを体験するイベントや、レストランとのコラボなど広がりをみせているが、詳細はべつの機会にゆずることにする。

 ちなみに、この取材の翌日、大阪府のべつの地域で農家に取材したとき、東大阪市のことが話題になった。「あそこは市が積極的だからいいなあ」。ため息とともに農家がこうもらした。広い田畑がある地方はもちろん、農地の存続が危ぶまれる都市においてさえ、アイデア次第で行政が農業を後押しすることはできる。しかも、税金をそれほど使わずに。各地の自治体のさらなる奮起を期待したいところだ。

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