量で勝負できないなら、質で特徴を出すしかない。そこで、東大阪市の農産物のブランド化という発想が出てくるが、同じことは多くの産地も考えている。そして、それを実現できている産地はほとんどない。都市という、そもそも生産条件が不利な場所で、どうすればブランド化を実現できるのか。

高級よりエコ、表彰状で実感

 もう1つ、忘れてはならないのは、消費者のメリットだ。地元の農業を守る目的で、よく地産地消に取り組むべきだと強調される。地産地消は生産者のメリットははっきりしている。だが、消費者があえて地元の農産物を選ぶ意義と利点をすんなり実感できるかと言うと、ことはそう簡単ではない。

 都市に残された農地を守るべきかどうか――。そう聞かれれば、ほとんどの人が「守るべきだ」と答えるだろう。だが、いざ実現しようとすると、次から次へと課題が浮上する。そこで東大阪市が農協などと連携し、始めたのが「ファームマイレージ2」だ。

 問題を解決するカギは、ブランド化にあった。各地の産地が品質を競い合うなかで、味で一歩抜きんでるのは難しい。どの作物をブランド化すべきかを決めるのも、困難を極める。そこで東大阪市は品目を選ばず、「東大阪市の作物はエコ農産物」というコンセプトを前面に出すことにした。

 具体的には、大阪府が推進する「大阪エコ農産物」という制度を活用した。化学肥料や農薬の使用について、大阪府が作物ごとに決めた基準を下回る農産物を認証する制度だ。生産者にこの認証を取得することを勧め、農協が運営する直売所や朝市で販売し始めた。

 ポイントは、それを消費者が買うメリットをはっきりさせたことだ。エコ農産物につけた認証シールを約50枚集めると、300円分のエコ農産物をプレゼントする。農産物の購入代金に対するキャッシュバック率は約4%だから、そう悪くない水準だろう。

 合わせて、シールの数が約50枚に達した消費者には、感謝状を授与する。感謝状が10枚たまると、今度は表彰状を渡し、ポン酢やしょうゆなどの特産品を提供する。と書くと、様々な景品が運動を支えていると思われそうだが、最大のポイントはそこではない。

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