国際経験が豊富な人でも参加する意義はあるんですね。

浅井:今年も1月に仕事で世界中を回ってきました。タネや新しいビジネスについて調べるためです。それでも、ナフィールドに参加したことで、改めて様々なことに気づかされました。

 本当のことを言えば、僕はビジネスで世界中に行っているから必要ないと思っていました。もっと若い20代の農業者に行ってもらいたいと思いましたが、人が集まらなかったんです。そこで参加をとぎれさせてはダメだと思い、自分で行ってきました。行ったら、むちゃくちゃよかった。世界一周するよりも、もっと刺激的な10日間です。本当に37歳で行けてよかった。ここで行かなかったら、自分の人生で成長する機会を失うところでした。

 前田さんがパイオニアで、僕がバトンを受けたんです。出発する前日に電話したら、「ジャパニーズ・サムライとしてしっかりアピールしてきてくれ」と言われました。みんなネーティブの英語で話すのがすごく速くて厳しい面もあります。でも、サムライ・スピリッツで必死に参加してきました。

今後の計画を教えてください。

浅井:来年から日本人が2~3人ここに参加できる枠を取り付けてきました。そのうえで日本からも奨学生を出せるように働きかけていきたい。スポンサーを見つけることは割と簡単だと思います。

意欲のある若い農家をどう探すか

 課題は農家です。意欲のある若い農家はたくさんいますが、英語で話せないとまじでキツイ。10日間、「わからない。わからない」ってなってしまう。でも、英語なんて勉強すればいいだけの話ですよ。みんな中高大と勉強してきたはずですから。

 そういう農家をどうやって探すか。自分たちの地域を担っていく若い農家に国際感覚を身につけさせようという、みんなからの推薦が必要だと思っています。リーダー教育です。そして、どこかのタイミングでナフィールド・ジャパンを立ち上げたいと思っています。日本人に必要なのは、きっかけ作りだと思う。強制的に目を開かせてくれて、強制的に意識を高く引っ張り上げてくれるプログラムは日本人にぴったりだと思います。



 浅井さんや前田さんに取材すると、後からその内容をふり返っていつもため息が出る。ふだん軽い気持ちで「日本の農業の再生」といった言葉を記事で使っているが、どこか上から目線のニュアンスを含んだそんな言葉が恥ずかしくなるほど、世界と向き合い、経営を向上させている農業者が登場している。家業を企業に脱皮させた農業経営者にはリスペクトすべき人がたくさんいるが、若い彼らと話していると、また別の感覚を覚える。「もっと世界のことを知ってほしい」という強いメッセージだ。

 ナフィールド・ジャパンの設立に意欲を燃やす2人だが、それぞれ一線の経営者として活躍中だ。いずれその内容を紹介する機会を持ちたいと思う。