日本施設園芸協会が最近、植物工場に関する調査結果を発表した。実施したのは2017年8~11月。発送した調査票は529票で、有効回答率は19・3%。なおこの調査は、LEDや蛍光灯などの人工光を使う植物工場だけでなく、太陽光を使う環境制御型の工場も対象になっており、比較のために太陽光型の結果にも触れながら話を進めたいと思う。

太陽光型と人工光型の違い

 まず栽培を始めた時期を見ると、太陽光型は2009年までが47%を占めているのに対し、人工光型は2010年以降が70%に達している。人工光型で新しい工場が多いのは、経済産業省と農林水産省が2009年に植物工場への助成に力を入れ始めたことが背景にあると見られる。

 日本で人工光型の植物工場の研究が本格的に始まったのは1970年代。それにもかかわらず、「現在、稼働している工場の7割が過去10年以内に栽培をスタート」という事実は、技術がずっと実用化の手前の段階にあったことを示唆している。この連載で、「黎明期をようやく脱した段階」という表現を何回か使ってきたのはそういう意味だ。そのことは、人工光型の成否を現時点で結論づけるのが難しいことも示している。

 栽培品目でも大きな違いがある。太陽光型はトマトやパプリカといった果菜類が78%と圧倒的に多い。これに対し、人工光型はレタス類が83%に達しているほか、レタス以外の葉物類も6%ある。ただし、ここで注意が必要なのは、太陽光型で実際に作っているのは収益性の高い果菜類が中心だが、レタスなどの葉物類もふつうに作れる点だ。

工場野菜のコーナーを設けたスーパーもある(柏市にあるマルエツ北柏店)
工場野菜のコーナーを設けたスーパーもある(柏市にあるマルエツ北柏店)

 太陽光は人工光と比べて光がはるかに強く、葉や茎が商品にならない果菜類でも大量生産が可能。これに対し、人工光を使って果菜類を作ろうとすると、電気代がかさんで採算に合いにくいため、光合成でできた植物体のほとんどが商品になるレタスが中心になる。人工光型の支持派からは「太陽光型は環境制御をしても、天気の影響を免れない」などと指摘する声もあるが、現時点の技術で見れば、効率性では太陽光型に軍配が上がるだろう。

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