2015年産のコメの値段が上がったことが影響し、消費が減ると農水省は予測しています。農水省はこの先をどう展望しているのでしょうか。

 「コメの消費が減っても米価が上がれば、農家の収入はトータルで増える可能性がある。だから、高米価を維持するほうがいいと思っているのだろう。そうやって、2、3年、何とか乗りきろうということだけを考えているのかもしれない。だが、人口が減り、米の消費が減っていくなかで高米価を維持するのはかなり難しい。反動で、米価が大幅に下がることが心配だ」

政治の役割が大事なのではないですか。

 「かつて自民党には、米価を決める時期になると出てきて、ひたすら米価の引き上げを求める人たちがいた。ベトナム戦争でジャングルから突然出てきて米軍を襲撃する『ベトコン』の連想で、彼らはベトコン議員と呼ばれていた」

 「一方で、米価が下がっては困るが、上げすぎないよう抑えるべきだと考える人たちもいた。彼らは総合農政派と呼ばれ、『コメは余っているんだから、コメだけではダメだ』と主張していた。自民党はけしてコメ本位主義の人だけではなく、良識派もいた。いまそういう政治家はいるだろうか」

コメだけをつくっていてはダメだ

飼料米への補助金の出し方が問題と思っている議員もいますが、表立っては主張していません。だから稲作が今後どうあるべきなのか、議論が深まっていないようです。

 「コメだけをつくるのではなく、複合経営でやるしかない。もともと関東より南は冬作も可能なので、乾田では麦や大豆をつくっていた。コメからの脱却が進んでいた地域もある。九州のある県は麦や大豆を一生懸命つくってきたので、飼料米への補助ばかり手厚くすることに反発している。積雪の多い寒冷地帯は田んぼでほかの作物をつくるのは難しいかもしれないが、施設園芸と組み合わせる方法もある。向かうべき方向はやはり複合経営だ」

 「1970年に減反が始まったとき、農協はおもに第2種兼業農家の声を受け、『休耕を認めてほしい』と要求した。彼らは麦や大豆をつくることに慣れておらず、休耕の形で減反するのが楽だったからだ。『水の管理をしていればいい』『雑草を刈っていればいい』など、結果的には様々な形で実質的に休耕を認めてきたが、それでも農水省は建前としては『休耕はよくない』と言い続けてきた」

「いま農政はせめて建前だけでも、コメだけをつくっていてはダメだというメッセージを発するべきだ。飼料米をつくるにしても、専用種でないとダメだと訴えるべきだ。それをしていないので、農家は『いままで通りコメをつくっていればいい。あとは国が何とかしてくれる』と考えてしまう」