「何が100点かはわかってます」

状況の変化にどう対応していきますか。

久松:僕らのやっていること、好みは結構頑固だと思う。栽培は少しずつ上手になってますが、やっていることは20年間変わらない。畑に来て食べてもらえば、絶対に喜ばせる自信はある。そこはこの先も変質しないし、揺るぎない自信がある。それを訴え続けたいという気持ちは増しています。

 でも、今までのおまかせ宅配セットの商品価値が、パッケージとしてあるいは価格帯として、相対的に下がっていることも間違いない。答えはぱっと出てきませんが、何か違う形で届けるということを考えなければならない。何年かかるかわかりません。

 目先の改善なら、やるべきことはたくさんあります。ちょっと中身を選べるようにするとか。みんなそんなに大きな不満は持っていないと思いますが、「今週はジャガイモは要らない」といった要望に応えることは技術的には可能です。頑張ってやるんじゃなくて、オペレーションに落とし込む。

 インターネットでのコミュニケーションをずっとやってきているベースがあるので、それをもっと充実させれば、かなりニーズに応えることができると思います。基本は今の形のまま、決済手段などを使いやすくするといった改善で、ずいぶんよくなると思います。当面そうしたことをやりながら、別のパッケージを考えるべきでしょう。

 基本的には物流を含め、新しい流通の仕組みを作るということです。今はこういう物流手段しかないから、それに甘んじているだけで、何が100点かはわかってます。畑にあるのと同じ状態のものが、そのままお客さんがふだん行動している範囲内で買うことができるようにする。それがゴールです。

 例えば家庭ではなく、オフィスでピックアップできるようにする。小さいアイデアは一杯あります。今のライフスタイルに合ったボリュームや受け取り方を、いろいろ作ることはできると思ってます。

利便性で言えば、カット野菜の需要が高まっています。

久松:げんにお客さんが「久松さんのところのレタスのような品質のカット野菜があれば買うのに」と言ってくれることがあります。「何か応えてあげられないか」とも思いますが、やっぱりやらない。

 うちのスタッフは「レタスは香りだから、食べる瞬間に手でちぎるとおいしい」といったレベルのことをお客さんに訴えています。包丁ではなくて手。あらかじめ切ってしまうと、そういう価値を殺してしまう。

 そういうレベルのことを伝えていきたいと思うんです。どうしてもカット野菜ばかり欲しいという人は、うちの顧客ではない。そこはぐらついちゃダメなところです。うちのものを買い続けてくれる人が少なくなっていると感じているわけだから、そこは賭けです。でも、そこを変えるつもりは全然ありません。よく考えたら、僕も古いタイプの有機農業者ですね。

畑で食べる喜びには絶対の自信がある(写真提供:久松農園)
畑で食べる喜びには絶対の自信がある(写真提供:久松農園)

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