一番食べて欲しい人が買えない現実

宅配セットの中身を教えてください。

久松:今なら大根、キャベツ、ニンジン、サトイモ、ゴボウ、あと葉物。どれもおいしいし、欠かせない。葉物に偏っているわけではないし、根菜に偏っているわけでもない。でも、ふつうに野菜を食べる人でも、1週間かかって食べ切れる量です。昔から「おいしいけど、処理しきれない」と言われてましたが、食事のために時間やエネルギーをとりにくくなってます。

 みんないろんなことを総合的に考えて、そのときどきの自分のライフスタイルに合った形で食生活を選択します。その意味で言うと、便利さを追求して組み立てていない自分たちの野菜の弱さが露呈しているんです。

現状をかなり厳しく受け止めていますね。

久松:僕にとって大切な、自分の作った野菜を食べて欲しい友人が食べることができなくなっている。あいつには送ってあげたい。こっちがお金を払ってもいいから、あいつには食べてほしい。コアターゲットです。そういう人が食べることができないという現実が、危機感を抱くトリガーになりました。

 その1人は30代前半で、東京で一人暮らしをしています。料理ができる状況にあれば料理しますが、平日は忙しすぎてまず全滅。遅い日は10時11時に帰宅する。そんな状況で野菜なんて買い置きできないじゃないですか。で、仕方ないからコンビニで済ましてしまう。コンビニ弁当はまずいわけでも、栄養価が低いわけでもないですよ。でも、ちょっと寂しい。

 その寂しさが重なって疲れたとき、週末1回だけでもカリフラワーのおいしいポタージュとか、おいしいカレーとかを作って食べると、疲れは吹き飛ぶと思う。僕らの野菜はきっと励ましになると思う。でも、うちの2500円の野菜セットは量が多すぎるんです。個人的にコアターゲットにしている人に届かない商品って、何だろうと考えてしまいます。

 世の中の多くの人は理解しないけど、自分の大切な友人が聴いてくれているということが、ミュージシャンの精神性を支えていると思う。それと同じで、自分が一番食べて欲しいと思う人が買えない現実に戸惑います。

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