ただし、いくら食味でほかのコメに勝っても、いざ機内で炊くとなると高いハードルがあった。じつは機内には炊飯器を設置することができず、電子レンジやスチームオーブンでしかコメを炊くことができない。その制約のもとでいかにおいしく炊くかが課題となった。

2.6キロがベスト、炊飯器なしでおいしく炊く

 日航のテストキッチンで炊き方を試し始めたのが昨年9月。最初にこれまで使ってきた魚沼コシヒカリと同じ水加減で炊いてみると、本来の食味が出ず、ご飯がべたついて触感もよくなかった。越後ファームのコメの水分値が新米同様の水準にあるからだ。

 そこで、コメと水の量のバランスをどうとるかが課題になった。条件は、ご飯の味を一定に保つため、機内での計量を避けること。水はペットボトルを使うので、水の量をピン留めし、最適なコメの量を探していった。2.5キロを中心に100グラム刻みで量を変えて調べた結果、2.6キロがもっともおいしく炊けることがわかった。

 作業手順も工夫した。機内では電子レンジに専用の釜を入れてコメを炊くが、上空で飛行が安定するまでの間、電子レンジに入れることのできる重量に制限があるため、コメと水をすべて入れることはできない。そこで、離陸前に入れるペットボトルの本数と、上空で客室乗務員が歩けるようになってから入れる本数を決め、一連の手順をマニュアルにした。

 日航や越後ファームのスタッフはこうした試験をテストキッチンから、飛行前で点検中の機内へと進めていき、今年1月には飛行中の機内で炊いても問題がないとことを確かめた。この間、日航側は魚沼コシヒカリとブラインドで食べ比べ、越後ファームのコメがまったく遜色ないことも確認。海外から日本へ向かう便はこれまで通り南魚沼のコシヒカリを使うが、日本発の便はビジネスとファーストの両クラスで越後ファームを採用することを決めた。